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【詩のようなもの6編】欲を求めて

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【欲を求めて】

欲した貴方がそっと遠くへ

儚く消えて欲が生まれる

厄病神と言われるのも最後

逢いたいと願えば離れて

流れ星より速く彼方へ

【余裕がないから】

意気揚々と洒落た言葉を
落ち込む君にかけてあげたい
でも余裕がないから言えない
厚顔無恥な人に憧れる

ふと見たチラシの見出し
渡りに船なテーマパークの図
でも余裕がないから行けない
能天気な性格に憧れる

足りない栄養素を補うサプリ
僅かな食費から捻り購入したい
でも余裕がないから買えない
経済的自由な仕組みに憧れる

生々しさが蔓延り
チャットの声に自棄になり
余裕がないから余裕がないから
そう不満を兼ねた憧れが今日も
そっとゆっくり蝕んでいく

【投げ掛け】

恐ろしく通常通り
いまの世の中を知ってれば
何か不安になる

自分に問いかけたって
分かるはずもなく逡巡

使いきれないエピソードの残骸
芸人の真似事をして晒しても
不安は水に流せないくせに
トイレに立て篭もる

軋む関節に冷える足の底
身体は正直だと身に染みて
そっとトイレットペーパー三角折り
運気を貯める

ドアの隙間 眩い光が溢れるのは
明日が変わらず来る事を
ちゃんと分かってるから

胃腸薬片手に
女々しさは変わらず
溜息と一緒に飲み込んで
忘れていた日常のドアを開け
一時の普通を歩く

【定期】

諸々の諸症状全て忘れたい
そう願ったところで
裸になれないもどかしさが
汚れた窓ガラスにこびりつき
定期的に訪れる痛みと便りに
複雑な心境でいる

都会は定期的に夜を知り
不可思議な繋がりを生み出す

なめらかな太鼓持ちが集い
形の無い性欲のその先を
誰もが知る場所で助け合う

定期的にピックアップされ
明日がどうなるのか
楽しみであったり怖くあったり
昨日の夕飯は覚えていられず
口の奥が深く渇いて

正しさの無い悪夢が補充
道中で増えた諸症状は複雑化

当たらない回答の仕方だけ
定期的に増えて...

【乱れてしまうから】

部屋の乱れは心の乱れ
路上の乱れは社会の乱れ
いっそ裸になってしまおうか
総ての事から

甘い考えでいつまでも生きたい
倫理の乱れはナニの乱れ
今日も曖昧な判定で袋叩き

拘泥して向けられるレンズ
興味本位の群がりに明日は我が身
画面の乱れは感情の乱れ

繋がることで息苦しく
電波の乱れが繋がらないフリを
呼び寄せて言い訳するなら
いっそ捨ててしまおうか
総ての関係を

【欲に負けて】

不甲斐ないや俺
欲に負けて不誠実の始まり
脱ぎ捨てた服が皺だらけ
明日を捨ててしまった

後ろめたい心根
世の中に映るものをザッピング
でも何一つ得るものは無く
消しておきたい景色だけ
くっきり強調されてしまう

乱雑された心根
慰めも褒美も素直に受け取れず
片側の立場が重く重く
欲に負けて目先で揺らぐ

募る寂しさは恥ずかしげも無く
独りよがりの性癖を披露
語る相手の心を忘れて
一方通行のエスカレート
欲に負けて自業自得の墓場へ

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最後まで読んでくれてありがとう。
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水宮 青