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【詩のようなもの】遊園地 【6編】
【遊園地】
冷たい夜風にあたり
点滅してる街灯と信号
柱に靡きしがみつくビニール袋
高らかに
けれど物静かな目つきの黒猫
僕に何かを暗示しながら
闇に同化していく
信号の光に引き寄せられて
目の前の分かれ道は現れて
駆け抜ける前のビジョンが
頭に染み付いていく
足から何かが伝わるのを
武者震いと言い聞かせて
苛立つのを許すように
点滅してる信号が緑に変わり
当てのない未来へ足早に駆ける
陽が昇るまで
そんな不安と期待の再演
たまに夢を見れば
静寂と停滞が誕生日を
揶揄うように遠くへ隠し
迷い込む無気力の遊園地
陽が昇るまで
不安のメリーゴーランド
期待のジェットコースター
明日こそってまた観覧車眺めてる
【寂しさのため息】
寂しさの溜め息が蔓延してる
夜が怖くて 病が怖くて
時の運と人の運が入り乱れてる
普段は気にしない細かな詳細
消化不良のタイムラインの情報
旬の過ぎたイメージ映像が
悪意と誠意を混じって
自分から遠く離れた場所で
怒りと失意にチェンジ
過去が怖くて 人が怖くて
夜の拡がりと病の拡がり
留まることなく
寂しさの溜め息が蔓延してる
【拭えない】
閉じた眼差し
闇の中から飛び出す感情の趣き
飲み込めなかった蟠り
拭えない汚れは拭えてしまう涙へ
形成されたエッセンス 今日も苦悩
段々つまらないセンス 今日も放浪
くぐった暖簾も雨宿りの場所も
賑わいなければ
拭えない汚れの吹き溜まり
求めたくなるのは
ジャンプしたくなる水溜まり
身に沁む冬至に隙だらけの政治は
誰も拭わないままお仕舞い
開いていくのは達観と諦観の瞳
知らないことを大口叩く人に怯えて
過ぎた季節の話題を繰り返して
明日も同じことを嘆き傷は拭えないまま
今日は過ぎていく
【解】
解きたい
吐きたい
心臓と胃の間から
解きたい
放ちたい
全てを目の前にあるここに
【衝動に】
隙間風に誘われて
毛細血管はざわめいて
昨日の血肉が脳を巡り
無意識を顕在化
いつかのお参りで託した価値のない祈り
今になって今日を生きる衝動
それの種だった
醜聞を呼ぶのは美談かな
最近は言葉だけでなく
物心つく前の自分も隠して
マスクの仕方にも傾注
胡座かいて天に足掻いて
空元気で空騒ぎ
血糖値が上がればおやすみなさい
そんな暮らしも尊くて
募る衝動は堂々巡り
過ぎゆく衝動は今も昔も
まだ変わらない
その割に社会は目紛しく変わる
鮮やかな花の下
沼が広がる穴 その衝動
狂気に変わるまで潜んでる
性懲りも無くその日になるまで
【傷跡、常識】
近づく傷跡
消える常識
頭の片隅から膨れる
痛みを伴った大切な記憶
目が遠くなって
耳が遠くなって
小さいことはどうでも良くなって
諦めにも笑えるのに
あの瞬間の光景には
まだ手は震えて君には痛みを隠す
止めないで
遠い声は叫び震えて
明日の行方に怯えて
テレビを細い目で傍観
赤と黒の字幕
青と白の顔色
交互に映されて怖くなって
慌てて自分の顔を触る
悲しさだけ口に出せないまま
近づく傷跡
消える常識
無防備だった過去が甦る
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最後まで読んでくれてありがとうございました。
水宮 青