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【詩のようなもの6編】 空漠の明日、未知の自分
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【空漠の明日、未知の自分】
10年後の自分に手紙を書く
簡単な気もするけど難しい気もする
同じ場所で蹲ってるだろうか
今が1番幸せだと振り返っているのだろうか
結び目が見えないほど
背負うものは足腰を曲げてしまわないか
出てくる言葉は何処に向けて
季節の変わり目を超えていくのだろうか
余地のない空白が黒く染まる
それだけはまだ嫌だから手を伸ばし
試行錯誤の末 まだ遠くへと
陽を浴びながら 雨を浴びながら
敢えて向かう凸凹の未知の世界
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【親父以上に】
いつも憎まれ口叩かれて
ヘラヘラ笑う私の親父
正義や大義など持たぬまま
流れるように忘れるように
辛いはずのことをとりあえず避けて
私に少しの嫌悪と深い愛情を与えて
今日もヘラヘラ笑う
気づけば私は親父の背と並び
親父が私の親になった時と同じ歳になった
もうずっと前から
どうしようもない親父だけど
私は親父以上にどうしようもない
笑う余裕も笑われる勇気もないから
今になって親父の何気ない一言が身に沁む
擦れた服と白髪と丸くなる背中
ふと見る後ろ姿に泣きそうになるけど
私が少しずつ楽にさせるから
もう少し元気でいてほしいや
ヘラヘラ笑いながら
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【風の便り】
あの頃の自分にはもう戻れない
それは良いこと?悪いこと?
同じ言葉使っても違う味がする
それは良いこと?悪いこと?
誰かに託すように
暗い未来に言葉を投げた過去
後から背中をなぞられるように
そっと届く風の便り
だけど答えは今も無いから
空を見上げて 花を愛でて
風の便りをまた先の誰かに
そっと投げるように
どんなことがあっても
今をどう生きるか
風に乗せるように言葉を乗せて
引き延ばすようにカレンダーを破る
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【オトナへの夏】
未熟な心そのままに 逃避行を企画
オトナへの道を壊したくてシンキング
友人が語るエッチな話も
両親が語る昔の常識も
今年の夏くらいは紫外線を避けるように
自分の世界へ深くダイブ
時の螺旋を解いては絡めて
起きて転んで得た縦軸に
寝違えて抱えた横軸を重ねて
青い火を消してハッピーバースデー
誰に言われたわけでもなく
寄る波に足を運ぶ
理由のない涙を出して
オトナになっていく
一足早く 夏の終わり まだ僕のまま
広くて未知の世界が続いている
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【challenge】
求めない事で自分の中を掘り下げて
くっきり浮かぶ次の道
上手く笑えない日のほうが多いのは
自分のアイデンティティだ
今はそう言えるくらいに自分を知って
何が足りないか気づくことがある
その瞬間自由になるよ 心音を鳴らして
明日の自分へ向けて夢にチャレンジ
橙の灯り 胸に秘めて
白紙の切符に次の行き先浮かんだら
また走り出すよ その場所へ
遠く 遠く
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【コンテニュー】
短冊に書いた願い
つい最近のことなのに忘れてしまった
地続きの猛暑 形骸化を辿る諸々
私たち どこに向かって続いてるの
憑代が消えていく 暮れていく
生活の匂いは冷めていく 落ちていく
だけどじっとはしていられないから
瓦礫に潜む痛みを拾い集める
巨雲に隠れる孤影を探し集める
疲れたらおやすみ
懐かしい景色を続けるように
子供の頃の夢
昔のことなのにまだ忘れられず
思い出すたび また腰を上げて
地続きの道に乗せて続く始まり
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最後まで読んでくれてありがとうございました。
よかったら他の詩のようなものもぜひ。
水宮 青