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【詩のようなもの6編】6月のブレンド

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【6月のブレンド】

シャッターから溢れる熱気
人々が話す内容を解析
6月を示すブレンドが去年と異なる

誰が優先的に歩くかなんて
窓越しから思う事は何も無い
閑話休題 
まずは辛い時代をフラットにと
無謀なブレンドを企てても
誰もその味を理解出来ず

拡散される格差
堪らない思いが大きく重く
得も言われぬ目の前が浮足立つ様

踵を返す場所は着々と減って
凸凹道に何も無く雨が溜まるから
底が見えていても淡い期待が
水溜まりにブレンドされて
濾過されず超過して
首の回らない6月を踏みしめる

【カフェの窓際】

人通りの多い道路脇
街角の小さなカフェ
ランチタイム狙って窓際の席に座る

晴れた天気
行き交う自動車 自転車
歩く老人 ママ集団
靡く旗 花 草木
耳障りな筈の会話も
一人佇む窓際の景色のBGM

飲んでるのは珈琲なのに
酒を飲んだ時より酔うこの空間
心地良さと孤独感があいまみえる

今日はどこ行こう
今の僕はそんな数時間先の
小さな未来だけを案じて
窓際の景色を肴に珈琲を味わう

訝しげに今現在の状況から
逃げ出したくて

【避雷針】

予想外の幸運が花束を枯らし
遠い景色だったはずの不幸話に
蜜蜂が群がる

雷鳴が痒い所を呼び起こし
目の前を暗くさせて
避雷針の役割を持っていたキミが
ボクの傷を拡げる

今じゃソレがトラウマ
さようならが快感の変わり者

白々しい態度が良く似合い
溜息はゆっくりと雷雲を作る
雨が降るまで涙も我慢
最後は天に向かって花に雨嵐

叫べない猛省の跡
厚く書き溜めた歴史は
幾千粒の種を蒔き蜜蜂の行方に
どうしようもなく左右される
わかっていても
わかっていなくても
泣きながら狂いながら雨嵐

【ワクワクハラハラ】

ワクワクしてた幼少期
今じゃ窄んだ花の跡
目の前の憧れに恐怖を抱く

ハラハラするような日常
全くもって求めてない
喪失感だけが積もっていく

必要なワクワクが
自分をまた狂わせて
それを止めることなく
勢い任せの自分に
ハラハラする無駄な時間

辿り着く場所が誰も彼も
皆同じなら今も明日も
漠然としたものなんて
適当に受け流したい

時々そんな茫然が頭を占める
なのに枯れた花がいつの間にか
ワクワクする想像力をくれる
だから今日もハラハラする

【消える詩人】

風の噂 詩人のぼやき
ツナマヨのおにぎり一個で
胃もたれしてしまう世間の声

度数の合わない眼鏡掛けて
ヤケクソにも近い感情で
机に向かって殴り書き
別に怒ってるわけではないけどね

その後ゆっくり足を摩りながら
言葉尻を擦り合わせて
奥行きがある文章に見せかけて
笑ってくれる人へ送る

微睡みかけて思い出す後悔
生活の曝け出しが金に成り
目敏く上り落ちていく

また風の噂
でも詩人のぼやきは聞こえず
肥大化する囲い
序の口の閉塞感に夢うつつ

【忘れた頃にそっと】

逃げるようにそっと
戸惑いながらそっと

悩みに囲まれて覆われて
自分にとって大切なことを
忘れた頃にそっと
肌触りが独特なあの詩で
思い出してほしい

薔薇の本数に意味があるように
無駄だらけの自由詩にも
あなただけの意味がある

面と向かえば赤面してしまう言葉も
この場所だから声高々に形にできる

所詮は絵に描いた餅と同じで
過ぎ去るおべんちゃらの一つ
忘れていく詩のようなもの

それでも不意に沈んだ時
忘れた頃にそっと
引き出せる詩を...

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水宮 青