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【詩のようなもの6編】鐘の音

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【鐘の音】

むごく響く鐘の音
適切だって言い張ることで
良い春を呼び寄せる事が出来るなら
それで構わないけど

痛みと傷みの板挟みは続いて
目の上のたんこぶは大きくて
皿洗いも犬の散歩も気乗りしない

奮い立つことも怯え竦むことも
君はただ鬱陶しく感じている
そんな風に見える
だから癒しの面だけを持つソレを
奉っているんだろうか

時代錯誤だと言われてたものが
ある日急に必要不可欠の大黒柱に
そんな夢物語を浮かべても
確固たるイメージには勝てなくて
消えていくことを止められない

「今年も宜しく」
含みのある定型文を明日も
君と愛せるだろうか
むごく響く鐘の音がまだ聞こえてる

【無駄と無題】

無駄遣いした時間が
後悔を貯金する
使い方も使い道も無いくせに

意味なんかない無精髭が
僕と君の距離を遠くして
会話の仕方一つ気取った語り口調

無性に遣る瀬無くなって
相対性理論にかぶれて泣いて
目のやり場に困って黒に還る

ヒビの入ったマグカップ
あとどれだけ使えるんだろう
黒い思い出の中で浮かぶのは
脈絡のない疑問

繋がりのない思考は否応なく
タイトルも付かないまま
形になって人知れず葬られて
要らない嗜好品に手が届く

身を滅ぼしたい無意識が働いて
そんな自分を客観的に捉えて
笑う門には中々辿り着けず
今日も朝から不経済が続いてる

【歪んだ川】

歪んだ皮を被った街の景色に
誰かが
皺を伸ばして笑う伏線代わりに
流行の袖を通して
美しい錯覚を起こそう

右向け左の姿勢に
敵意と敬意を融合して
確かな普遍に相対して
渇く喉に水を流し込もう

新年度の挨拶が交わされてる中
記憶の喪失に気付いて
ただ1人過去の歪みに溺れて
時空を彷徨う

天に導かれてるとか何とか
大それたことを言いたくなる
燦々と輝く陽の下
御神籤の結果に意気揚々

待ち人が現れる予感もしながら
歪んだ川は留まらず流れてて
昨日の正論がひっくり返って
街の片隅で泥のような日々に浸る
大海に還るように

【乾く文字】

睨むように並ぶ文字列

主観が肥大して揺らぐ後列

宵越しの銭が消えてく昨日

終わらない疑心暗鬼に憂鬱

綴る文字に潤いは伴わず
乾いた文字が無駄な列を作る

足りない物に気付けず
明日も明後日も戦々恐々

【詩人に憧れて】

期限付きの消費活動は
未来に何も残さず
上辺だけが化石になっていく

歴史を幼少期に学んでも
自分の歴史と重ならなくて
繋がらない場面が窓の雲と流れる

至らない思考は
一流のものを真似て変えて
一丁前に冬の空に重ねてみる

繰り返しの中で少し違う筆に
規定には含まれない価値が
細く薄く時に太く濃く載っかる

大人になってく過程で
幼少期に見たセル画のアニメに
今の時代は遠く懐かしくて
届かないし過ぎたことを思い知る

僕はまだ詩人に憧れて
揺らぐ夢の残骸にぼやけている

【星へ】

冬の公園に身を寄せる
誰もいないから
ちょっとだけ怖いけど
今この瞬間僕だけが見てる星
感動はしないけど
思うことはあったりする

止まってた時間を動かす
後から思えばそのきっかけは
この星たちだった
何処かで誰かにそう語るための
布石だったりする

暗い海に光る星は
見方で色が変わってて
楽しくて悲しくて
冬の公園じゃまだ遠くて
次はどこで見ようか
小さく戯言を呟きながら
今はまだ白く見える星に託す

次は何色かな
次は星へ向けて何処へ進もうか


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あけましておめでとうございます。

今年も詩のようなものやイラスト投稿していきます。

気が向いたらまた見に来て下さい。

水宮 青





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