浴槽を満たすまで
蛇口をひねってからお風呂のお湯が溜まるまでの雑記
・最近ひとに自分の文章を褒めてもらえる機会が多くて嬉しい。学校の授業で私が書いた小説を読んで、私よりもそれを好んでいかに良い作品かをクラス全体の話し合いの場で語ってくれたクラスメイトがいたりした。
「これは僕にとってもはや映像作品で」
そんなふうに話す姿が印象に残って仕方がなかった。匿名で書いた作品の作者を明かすのはナンセンスだけどもそれが誰かは薄々感づいてもいたようだったので、授業終わりに直接お礼を伝えに行った。すごく嬉しかったよ!
・自らの意思や言葉を尊重されることなく育った。年齢1桁の頃から幾度となく受けた学力試験の国語の解答用紙に書き連ねる言葉にはいつだって真っ赤な丸が並んでいたのに、私の中身を砕いて差し出す言葉は誰にも受け取られることは無かった。
どれだけ読解問題を解くのが上手くても、己の言葉で何も語れないならこの豊からしい語彙にもよく回る口にも価値は無いと思っている。
しかしそれと同時に、たとえ己の言葉で何を語れたとしても、それを受け取ってこちらに言葉を返してくれる人間がいなければそれに何の意味もなくなってしまうと理解した。
表出されない言葉は朽ちる、誰にも受け取られない言葉も。
浅慮な己に課すことは、上手く喋ることだけに気を取られて、目の前にいる1番重要な存在をゆめゆめ軽んじることがないように。