お笑いライブ写真撮影講座④人が大勢いる時のピンボケ対策【SONYの場合】
主催者によりますが、エンディングや中MCなど、ネタ以外の部分で写真撮影OKタイムが設けられているお笑いライブがあります。
一眼ミラーレスで撮影中、どうにも上手くいかないことが1つありましたが、最近やっと解決したのでシェアします。
簡潔に言うとお笑いライブに限らず、意図しないところに行ってしまうピントをどうコントロールするか、という問題です。
例えばエンディングで、前列にゲストだったり、誰かその場の主役になる人が出てて、少し離れて後列に出演者が複数人いる、という場面があったとします。もし正しくピントが合っていればこうなります。
ですが、前列の人にピントが外れて後列の人に合ってしまう時があります。
カメラ用語で言う「後ピン」「ピントの中抜け」です。
後ろが人ではなく派手な舞台セットだった場合も同じようなことが起こりました。シーン関係なく、意図しない対象にピントが合ってしまう経験は誰しもあるのではないでしょうか。
オートフォーカス機能は日々進歩していて、初心者でも簡単にピントを合わせることができます。
ですが、あなたが誰を撮りたいかまでは察してくれません。
なのでカメラに「この人にピントを合わせて!」と指示する必要があります。
カメラにどうやって指示を送るのか?結論から言うと
フォーカスエリアの設定「トラッキング+フレキシブルスポット」です。
※私はSONYユーザーなのでSONYカメラで説明します!他メーカーでも似たような機能はあると思うので各自お使いの機種で調べてみて下さい!
※いま何も問題なく撮れている方はあんまり気にしなくていいかもしれません!自分の一番やりやすい方法でいきましょう。
★なぜ「後ピン」が起こるのか?
フォーカスエリア、何を設定していますか?
特にあまり考えずに設定している方も多いかと思います。
フォーカスエリアというのは、被写体を検出する範囲のことです。
SONYのHPに説明があるので一部引用します。
ワイド:モニター全体を基準にピント合わせをします。子供や動物、スポーツなど、被写体の動きが予測しにくいときに適しています。
ゾーン:モニター上でピントを合わせたい位置を選ぶと、その中でピントを自動で合わせます。
中央固定:モニター中央付近の被写体にピントを合わせます。
目的に合わせてフォーカスエリアを選んでいくのですが、とりあえずワイドにしておけばいいでしょう、ぐらいに思っていました。
私の場合、これが後ピンの原因でした。
おおかたのカメラは「瞳AF」などの機能を有しており、特に人の顔を検出するのが得意です。特に何も考えなくても人の顔に吸い付くようにピントが合います。
その反面、フォーカスエリア内に人が大勢いる場合、カメラが誰にピントを合わせればいいか迷ってしまい、撮りたい人にピンが合うまでシャッターを半押しし続ける羽目になってしまうのです。
なので、対象者を限定するためにはフォーカスエリアを狭く設定する必要があります。
★対処法について
前置きが長くなりましたが本題、対処法についてです。
まずはカメラのフォーカスモードを「AF-C」にします。
続いてフォーカスエリアの設定ですが、前述の通りカメラに「この人にピントを合わせて!」と指示するために、「トラッキング:フレキシブルスポットS」(「トラッキング:拡張フレキシブルスポットS」でも可)に設定します。
こうすると、カメラのボタン操作で測距点(フォーカスを合わせるポイント)を動かすことが出来ます。
そのポイントを、撮りたい対象の上に持っていき、シャッターを半押しする(AF-ONボタンを押す)と、ピントが合焦し、緑枠に変わります。
シャッターを半押ししている間、被写体が動いても追尾してくれます。フォーカスエリアが狭いので、背後にピントを持っていかれることもありません。
あとは撮りたい人の顔の近くに持っていくだけです。
いちいちポイントを動かすのが面倒臭い時は、とりあえずポイントをセンターに置いといて、カメラ自体を動かして被写体や顔をポイントに持っていってピンが合ったら構図を作ります。
最悪、画面内をタッチしても動きます。やりやすい方法を選んで下さい。
ちなみに異なる人物でもカメラと同じ距離にいればどちらもピントが合います。
★操作方法 APSC機はひと工夫必要
フレキシブルスポットの操作方法ですが、フルサイズ機とAPSC機で異なります。
フルサイズ機にはマルチセレクターというボタンがあって、それをポチポチ左右に動かせばいいのですが、α6400などのAPSC機と、α7Cなどコンパクトラインのフルサイズ機にはマルチセレクターがありません。
代わりに、コントロールホイールを使って操作します。
ちょっと面倒臭いのが、コントロールホイールはISO感度やドライブモードの操作も兼ねているので、通常操作時とフレキシブルスポット操作時と切り替えが必要になります。
フレキシブルスポット操作をいつでも呼び出せるようにするために、「フォーカススタンダード」をカスタムキーに設定しておきます。
こうすることで、画面内のポイント操作が可能になります。
逆に、ISO感度やドライブモードを操作する時はコントロールホイールの中央ボタンを押します。慣れないと戸惑うかもしれません。
面倒くさいなと思われるかもしれませんが、この方法でのピント合わせは良いところがたくさんあります。
★フォーカスをコントロールする利点
①意図を持ったフレーミング(構図作り)が可能になる
狙った人にピントを合わせることができれば、意図的にピントを外すことも可能になります。
例えばマイクで喋っている人にピントを合わせるのではなく、その奥で興味深く話を聞く人ににピントを合わせてツーショットを撮る…とか。今まではそういった構図が撮りたくても何度もAFやり直すしかなかったのが、この人にピンを合わせて周囲はここまでフレームに入れようとか、意図を持って画作りをする余裕が生まれます。
②単焦点レンズが使いやすくなる
F値の小さい単焦点レンズ。
背景や前景を大きくぼかすことができるのが特徴ですが、その代わりにピント合わせがとても難しいです。
フォーカスエリアをゾーン設定にしていると…
花ではなく手前の緑の実にピントが合ってしまいました。
なのでフォーカスエリア設定をフレキシブルスポットに変更します。
フレキシブルスポットを使えば花の真ん中にピントを合わせられます。
人の顔ほどではないですが、花もかなりピンが持っていかれる被写体です。しかも小さいので、花畑の中で咲く1輪の花を狙って撮りたい時、オートフォーカスはかなり迷います。
ですが、トラッキング:フレキシブルスポットなら自分の撮りたいものを狙い撃ちできます。対象を追尾してくれるので多少風が強い日でも大丈夫。
花を撮るのが上手くなります。楽しいからみんなやってみてほしい。
ただ、なんでもぼかして撮りゃ良いって話でもないよな、とも思います。
★トラッキング:フレキシブルスポットが向かないシーン
この方法はアイドルライブとかダンスとか、多数の予測できない動きをする被写体を撮るのには向きません。
展開が早すぎてフレキシブルスポットの操作が追いつけないためです。
あくまでも、お芝居とかトークライブぐらいのテンポで進んでいる時に限るのかなという印象です。シーンに応じて適宜切り替えましょう。
★まとめ
あくまでも自分なりのやり方なので、困った時に参考にする程度でOKです。
個人的には「これ今ピント合ってるのかな」って不安になることが多いので、フォーカスを常時コントロールできるほうが安心します。
同じような問題で困っている方の手助けになれば幸いです。
フォーカスを理解してカメラともっと仲良くなりましょう。
※ライブ・イベントの写真撮影に関しては主催の指示に従ってください。マナーを守って楽しく観劇しましょう。
最近、仕事ついでにライブを観に行ったので写真を載せます。
ボディ:α7Ⅳ
レンズ:TAMRON 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD
F2.8 SS:1/320 ISO:640