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日曜美術館を見て(2022.11.20)

今週のテーマは安藤忠雄。言わずと知れた世界的建築家。誰もが一度はきっと安藤忠雄設計の作品を目にしていることだろう。

芸術と建築について、僕は別々のイメージを持っていた。しかし、現代アートの出現により、芸術の範囲が無限に広がった今、建築だって芸術なのがわかるようになってきた。建築だけではない、そもそも生きることこぞが芸術なのではないか。

安藤は建築の原点は「丸、四角、三角が基本である」と言った。物事を単純に捉え、それを再構築していくことは、キュビズムに通じる。実際、安藤はコルビュジエの建築に衝撃を受けたという。コルビュジエの原点もキュビズムにある。

「人生は覚悟」と言い、パリの伝統建築物を現代美術館にするプロジェクトの指揮を取る。伝統を活かしながら、新しいものを取り入れる。それは言葉で言うほど簡単なことではない。そこには過去と現代の対話が欠かせない。

過去があっての現代がある。過去なくして現代はないのだから、過去と現代の架け橋にならなければいけない。

そこには、仕事に対する情熱があり、好奇心に対する行動力がある。「人生は覚悟」とはそういう意味ではないだろうか。

安藤は「仕事の半分はポシャる」とも言っている。しかし、失敗があるからこそ、そこに独創性が生まれる。夢から逃げてばかりいては失敗しないかわりに、独創性を磨くことはできない。
信念を持って、自分の生きたい生き方をする。それが難しいことはわかっている。世の中のしがらみから逃れられない人たちにとっては、それは一部の才能豊かな人物だけに許される特権だと思っている。でも、それも結局は逃げなのだろう。

直島の地中美術館。日の光だけで絵画を見る。時間により絵も変わる。
安藤は「光が建築を作る。その中で設計家に何ができるか」を考えて設計している。光と影の表現は日本の原点に思える。

ひとつだけ美術館に対して不満に思うことがある。光が反射して、絵に自分やまわりの人々、反対側の絵が映りこんでしまうことがある。あるいは照明が強すぎて、一部が横から見ないと見えない場合がある。

安藤は「建築は箱である」とも言っている。中身を活かしての箱作りを考えた設計という思想は、特に美術館には必要だと思う。

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