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tadashi_0229
ザ・ショート・ショート・ショート15
<ミズスマシ>
「お吸い物です」
テーブルに椀が置かれた。
開けてみるとお吸い物の表面をミズスマシが泳いでいた。
「わっ、なんだこれは」
と驚いた僕に、お店の人はすました顔で
「はい、すまし汁です」
<どこでもドア>
「坊や、どこか行きたいところがあるかい」
「うん」
「そうか。じゃあ、このどこでもドアを使えばどこにでも行けるよ」
「無理だよ」
「大丈夫だから。どこに行きたいの」
「うちのトイレに行きたい」
「じゃあ、どこでもドアを開けてごらん。そこは坊やのうちのトイレだから」
「駄目だよ。だって今パパが入ってるんだもん」
<背中を押して>
行動力のない君は
いつも僕に「背中を押して」と言う。
君はいつも自分から動くことを恐れている。
自分の責任から逃げている。
僕はそんな君にストレスを溜めている。
君が想像もできないくらい大きなストレスを。
そのとき君は「背中を押して」と言わなかった。
それでも僕は君の背中を押した。
目の前にあるのは絶壁と青い海。