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愛が見える女(超短編小説)

「私に愛を見せて」
彼女はそんな使い古された無意味な言葉を口にした。
僕は彼女を強く抱きしめた。
「そんなのは愛じゃない。ただの性欲よ」
彼女は私の体を突き飛ばした。
「じゃあ、どうやって愛を見せればいいの?」
僕は聞いた。
「私のことをちゃんと愛せばいいの」
彼女が言った。
「私には愛が見えるの」
僕は彼女を置き去りにして、その場を立ち去った。愛が見えるような不幸な女とは付き合いたくなかった。

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