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最終話 おもいで

ぼくとおもいでどろぼう

最終話 おもいで

ぼくはおもいでどろぼうは友だちになった
カフェで、コーヒーにミルクとさとうをいれたものをいっしょに飲んだ

ぼくはおばあさんのことをおもいでどろぼうに、しょうかいして
ぼくたちは、ぼくとおばあさんとおもいでどろぼうで、たのしくお話をした

昔のこと、旅のこと、好きな食べもののこと
お母さんのことだって

カフェでずーっとお話をしていた

3にんで笑って、3にんで泣いて、3にんでいねむりをして
ほんとうに、幸せだった

気がついたら、3日もたっていた


4日目

ぼくはそろそろ旅にでないといけない気がしてきた

おばあさんとおもいでどろぼうと過ごす時間は楽しいけれど、
ぼくは行かないといけない、、、気がする
そんな気がするんだ

でも、ぼくは前に進めるだろうか
また、同じところをぐるぐるしないだろうか

ぼくは不安になった
だから、おばあさんとおもいでどろぼうに聞いてみた

「大丈夫よ、もうぼうやは」
と、おばあさん

「キミはもうおもいでの大切さをわかっているよ」
「それにオイラはキミにおもいでをかえしたよ」
と、おもいでどろぼう

ぼくは、おばあさんとおもいでどろぼうとたくさんのことを話して、
たくさんのことを教えてもらって、ようやっとわかったことがある

おもいでは、じゃまに思えてしまう時はあるということ
でもそれはそれだけ大切な時間をすごしてきたということ
おもいでを忘れないで、ありがとうを言うこと

おもいでにありがとうと言いながら、前に進むことが、
ぐるぐるしないで前にすすむ、ということみたいなんだ

でも、忘れてしまったらどうしよう

このことを
おばあさんのことを、おもいでどろぼうのことを
カフェを、コーヒーにミルクとさとうをいれたものを
お母さんを、みんなを

忘れてしまったらどうしよう

ぼくは今日はねむれないかもしれない

忘れてしまうことがふあんで
明日旅だつことがふあんで

どうしよう、どうしよう、どうしよう
どうしよう、どうしよう、どうしよう
どうしよう、どうしよう、、、、、、、

あれ?
ぼくは、何回どうしようって言ったっけ?

えっと、1回、2回、3回、4回、、、
むにゃむにゃ

けっきょく、ぼくはぐっすりねむれた



ぼくは起きて、にもつをまとめた

さあ、しゅっぱつだ

リュックをしょって
おばあさんとおもいでどろぼうのことを見る
ふたりともあたたかい顔をしている

ぼくは、どうしてもおさえきれなくて
ふたりに抱きついた

そして、少しだけ、ほんの少しだけ

おおん おおん

と泣いた

「ぼく、おばあさんとおもいでどろぼうのこと忘れたくないよぉぉ、、、忘れちゃったらどうしよう、、、」
と、ぼくは泣きながら言う

すると、おもいでどろぼうは
「ぜったいに忘れないってつよく思うんだ」
「そして、いつも心の中でありがとうを言いつづけるんだ」
「そしたら忘れないさ」

そして、おばあさんは
「わたしは忘れっぽいからねぇ」
と、ふふふと笑う

そのままの顔でぼくにノートとペンをくれた

「これは日記ってやつだよ」
「これに今日のことを書いて、毎日を書いて、ぼうやがどう思ったのかを書いて、たまに見かえせば、忘れないだろう?」
とおばさんは言う

ぼくは日記とペンをリュックにしまって
またリュックをしょった

「行ってきます」

ぼくはカフェから出て、前へとつきすすむ

おばあさんとおもいでどろぼうは
ぼくのすがたが見えなくなるまで、手をふっている

もちろんぼくも、ふりつづける


何日かあと

歩いていたら、旅をしていたら
また昔のぼくに会えるかと思っていたけれど、どうやら会えないようだ
なんとなく、そんな気がしてきた

きっと、昔のぼくは、
ぼくにおもいでの大切さを教えるためにやってきてくれたんだろう

昔のぼくと、おばあさんと、おもいでどろぼうとも
バイバイをして、ぼくはひとりになった

でも、ひとりじゃないんだ
さみしいけれど、ひとりじゃないんだ

みんなは、ぼくのおもいでの中にいるし、
この世界のどこかで、きっと元気に生きている

どうしても会いたくなったら、会いにいけばいいだけさ!

ぼくは、ひとりでは生きていない
ぼくは、みんなと生きているんだ


ぼくはみんなと旅にでた 

みんなといっしょに旅にでた

ワクワクしちゃう大冒険っ

とにかくぼくはつきすすむ

おもいでとともに、つきすすむ




ぼくとおもいでどろぼう
第7話 おもいで

おしまい

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