みずき工房の家づくり|住まい手が語る4つの魅力(板垣邸)
以前、「楽しくポジティブに」のブログ記事でご紹介した板垣邸。
大工さんが楽しくポジティブに仕事をしたこと、暮らしや生き方を整理できたこと、人とのつながりの大切さを学んだことを、義男さん・奈保子さんご夫妻に、以前のインタビューで語っていただきました。
前回の記事▽
竣工から約2年が経過し、庭の木々と家の佇まいが以前よりも馴染んできました。
みずき工房とともに歩んだ家づくり。その魅力とは何なのか。改めてご夫妻に尋ねると、4つの答えが返ってきました。
これから4つの魅力を一つずつ、ご紹介していきます。
①自然素材ならではの暑すぎず、寒すぎずの心地よさ
−−みずき工房は、木や土壁といった、自然素材を使った家づくりを行っています。その住み心地はどうなのでしょうか?
訪れたのは、7月初旬。外は汗ばむ日差しですが、室内に入ると、風が通り抜け、少しひんやりします。この日、まだ、エアコンは使っていません。
「最初の年は、お盆くらいから住み始めたので、エアコンなしで凌いだのですけど、昨年はつけました。暑かったんですよね。でも、7月と8月の一番暑い時くらいで、あとはつけなかったかな」と語る義男さん。エアコンは、どうしても我慢できない時のお守りのような感覚なのだそうです。「空気が全然違いますよね。夏もむわっとすることがなく、それは土壁のおかげかな」(義男さん)。
−−逆に冬はどうなのでしょうか?
「床が冷たいっていうことが全然ないよね」と義男さん。実家のフローリングでは、冬場はヒヤッとするそうですが、板垣邸は国産・松の無垢フローリング。体感温度が全く違うそうです。敢えて、敬遠されがちな節ありの材を使い、節の部分が抜ければ埋め木をして、その風合いや経年変化も楽しんでいます。
暖房は薪ストーブ。大工さんから端材をいただくこともあり、焚付けとして重宝するそうです。
②大工さんと築く、信頼関係と安心
−−ひと昔前、地域の大工さんが家を建てることが当たり前であった時代には、折々に大工さんがメンテナンスをしてくれて、まさにホームドクターがあるような関係でしたが、家を買うことが当たり前になった現代では、そのような関係を保つことが難しくなっています。みずき工房と建主の関係性はどうなのでしょうか?
竣工から2年を経て、「大工さんと付き合っていくんだっていうのがすごく分かったかな。その家が建って終わりでなく、その関係が続いていくんだっていう。アフターケアというか、そういうのをすごく面倒見てくれる感じかな」と義男さんは語ってくれました。ハウスメーカーの担当を経由してではなく、直接大工さんに伝えて対応してもらえる機動力に安心を感じるそうです。2018年7月の西日本豪雨の時も、激しい雨風が吹き込んでいたところを、水木棟梁が来て対応してくれたそうです。
その信頼は、建築中から始まっていたようです。当時の記憶を、「友人から、建主がいることを示しておかないと手を抜かれるなんて言われたのですが、うちはそういうことが全くなくて。見たいし、見たらすぐわかるのですけど、すごくよくやってくれているのですよ。細かい仕事をやっているなあって。楽しみで見ていて、チェックするなんて感覚はなかったですね」と義男さんは語ります。そんな様子をお子さんも興味を持ち、一緒によく見ていたそうです。大工さんが木をカットしているのを見たり、10時と3時はお茶とお菓子を食べたり、一緒にごはんを食べたり、その中で何気ない会話を重ねてきました。施工期間が約1年と長いため、そうした触れ合う機会が長かったことも、現在の信頼に繋がっているようです。
③自分のこだわりをとことん生かせる
−−最初は木の家や土壁がいいとは思っていなかったという板垣夫妻。二人の感覚に合う家を探していたら、野の草設計室(当時はAA studio)に辿り着き、設計は野の草設計室、施工がみずき工房となりました。
設計者の橋詰飛香さんの話を聞くうちに、「やっぱり一緒につくっていくっていうところを感じたのと、せっかくすごいお金をかけて建てるのだから、関わりながら自分たちの家になっていくっていうのがすごくいいなあと思って、最後の決め手はそこでした」と、義男さん。さらに、「自分も関わりながら、一緒に家をつくっていく、そういう家づくりがしたいなあと思って」と続けます。
大阪の家具店「TRUCK」の世界観に憧れていた板垣夫妻。そこでは、木、革、鉄などの素材感を大切にしながら長く使える家具を制作しています。書籍も出版されていて、本に貼られた付箋から、空間づくりの研究をした跡が伺えました。「昔ながらの和風のイメージとはちょっと違うんだけど、僕ら的には、最終的に、TRUCKのような世界観と伝統構法との融合みたいなのを目指したのかな」と、少し照れながら義男さんは語ってくれました。
家づくりを進める中で、選択しなければならないフェーズがたくさんあります。ハウスメーカーの場合、ある程度決められた中から選ぶことが多いようですが、板垣邸の場合は無限大。
「資料でもなんでもいいから、自分のいいなと思うものを持ってきてみたいな感じでした。要するに、自分たちで考えないとつくれない家づくりなんだよね。誰かにポンッと任せて、ポイントだけ選ぶというのではなくて、本当に考えないといけなくて。だから大変だったね」と、義男さんは当時の苦労を笑います。
薪ストーブの炉台のレンガやキッチンのタイル、スイッチカバー、照明やソケットカバー、壁に打たれた和釘、建具のデザインなど、ものによっては橋詰さんも呆れるほどこだわり抜いたそうです。建具は大工さん泣かせの仕事だったとか。「うちの場合は、伝統構法と融合しているのもあるんだけど、柱や梁の迫力があってのパーツのこだわりだから、飾りっぽく見えないんじゃないかなと勝手に思っています」と満足気な義男さんでした。
④見えないところの仕事もすごい!
−−みずき工房の家づくりについて、水木棟梁は、「空気のような」という言葉をよく口にします。住んでいて、どのあたりに感じるのでしょうか。
「見た時に違和感が多分ないのでしょうね。でも、それは、こだわっていないとできないことだと思います」(義男さん)。よく見ると、床や梁など、木と木をつなげているところが、パッと見た時に継ぎ目が分からないようにつながっています。そういうところから、木目もつながるように材を選んでいるといった、心配りを感じるそうです。
「こういう、梁の雰囲気とかも、普通に暮らしていてもすごいなあって、今でも思うもん」と、天井を見上げながら、語る奈保子さん。そこには、手刻みで木を組んで建てた大工の仕事が見えました。
さらに、義男さんは「見えないところに仕事を残すのですよ。だから、分からないんだよね。中の部分がすごい。相当すごい仕事をしていると思います」と、建築中も足を運んで実際に見ていたことから、自信を持って語っていました。
中の部分というのは、壁や天井、床ができると隠れてしまう仕事です。そのため、建ってしまうと分かりませんが、建築途中の構造見学会では見ることができます。
見学会情報は、みずき工房のFacebookやInstagramで発信していきますので、ぜひ、その貴重な機会をお見逃しなく。
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