ベリッシマ再び②2024.2.22
まだ旅立てない前日譚はこちらから↑
記念すべきベリッシマ二回目の乗船は、過酷な寒さから始まった。折しも今は2月、ベリッシマが寄港する沖縄とは異なり、地元は冬真っ只中だ。さすがに雪こそ降ってはいないものの、とにかく寒い。
浮かれた旦那が「とにかく早い時間からベリッシマを楽しみたい!」と、詳細もわからぬまま一番早い飛行機を予約したので、初日である22日の夜明け前には自宅を出発する羽目になった。
ちなみにベリッシマから届いたチケットの乗船時間は22時30分だった。マジか…。これでは、小3のしぃだけでなく、小6のうぅですら寝てしまう。いや、大人の我々も長距離の移動で疲れ果てて、部屋に入った途端に寝てしまうのでは?
記念すべきベリッシマ二回目の乗船初日の思い出が、乗った!寝た!だけではあまりにも悲しい。そうでなくともお盆と違い、今回の旅行は五日間しかないのに…。
ともかく、行けばなんとかなる!の気持ちで飛行機に乗り、無事に沖縄那覇空港に到着。
1週間前に沖縄旅行した友達が、空港で撮った写真を送ってきたから自分も撮りたい!とうぅが言うので、めんそーれが書かれた大きな文字を撮影する。
それにしても、暑い。
2月下旬の沖縄は最高気温が18度。日中は半袖で過ごせるくらいに暖かい。空港に降り立った私はすぐにロングカーディガンを脱ぎロンTになったが、それでも少し暑く感じるほど。しぃもロンTで少し暑そう。うぅは得意げに厚手のパーカーを脱ぎ半袖になっていた。賢い。そして旦那はダウンを脱いでも厚手のニット、無茶苦茶暑そう。「僕、この下にヒートテックも着てる…」賢くない。
通り過ぎる観光客と思わしき人々が、揃ってオリオンビールやspamのTシャツを着て歩いている。当初は「あぁ、沖縄に来て、浮かれ気分でお土産Tシャツを買った人が早速着てるのだな」と思っていたが、その数の多さに段々と「もしやここまで暑いと思わずに半袖の用意がなかった人が、緊急避難的に買って着てるのでは…」となった。Tシャツ姿の人を、旦那が横目で羨ましそうに見ている。
荷物を預け身軽になり、ようやく2年ぶりの沖縄を楽しむぞ!モードとなった。この時点で時刻は11時50分、ベリッシマはまだ沖縄に到着すらしていない。だが、ベリッシマに乗る気満々の我々は、抜かりなく港へのシャトルバスが発着する県庁前付近に荷物を預けた。これが後々悲劇を生むとも知らずに…。
前回たまたま定休日で、旦那が食べられなかった沖縄そばの店「EIBUN」を目指して国際通りをひたすら歩く。県庁前からEIBUNまではやや距離があるが、まぁ片道くらいならねと足取りも軽い。
メニューを見ながらのんびりと待つ。いい香りが店の外まで漂っていた。野良猫を見かけたしぃは、しきりに写真を撮っていた。
店内は壁とテーブルを木で統一されて、濃い茶色で落ち着いた雰囲気。コシのある麺も出汁がよくきいたスープも美味しい。ミニサイズのじゅーしーは娘達が気に入りパクパク食べていた。
お腹が満たされようやく観光気分になり、国際通りの店を見ながらぶらぶらと歩く。お土産の目星をつけつつ、ブルーシールアイスの店へ。あいにく店内は小さなテーブル席が一つしか空いてなかったので、娘達を座らせて私と旦那はテラス席へ。ガラス越しに娘達がポーズをきめて写真を撮るようアピールするも、間に他の人がガッツリ入るのと、どうしても盗撮っぽくなるので遠慮させてもらった。
代わりに「どうして撮らないの?」と出てきたうぅのネイルを撮らせてもらう。
彼女の爪はわりと整っているが、親指だけは左右で明らかに違っていて、遺伝の恐ろしさを感じる。無理してパパとママもどちらも!でなくとも、いい方だけを受け継いでくれたらよかったのに…。
アイスで暑さが薄まり、アーケードで売ってた棒付きパイナップルを食べて、娘達の機嫌が良くなったところで重大な事実に気づく。
「そういえば、台湾ドルの両替してない」
慌てて調べると、沖縄銀行本店へ行けば窓口で両替可能とのこと。その銀行本店は、先ほど荷物を預けたまさに県庁前。そして窓口が開いている3時まであと1時間ほど。
「え〜歩くの?!」「もう疲れた…」
不満たらたらの娘達をなだめつつ、再び国際通りをひたすら歩く。コンビニ前にあるかりゆしを着た大きなピカチュウに、さっきは「かわいいね!」と言う余裕すらあったのに、今は横目で通り過ぎながらとにかく歩く。
なんとか銀行で両替を済ませ(旦那は窓口担当の人に「急に台湾ドルへの両替が増えたんですけど、何かあるんですか?」と聞かれたらしい)ベリッシマに乗船するまでの時間をのんびり過ごそうと、ファミリールームがあるネットカフェへ。
「場所はどこ?」
「え〜と、さっきのブルーシールアイスより先のドンキを曲がった所で…」
国際通りを再び再び歩く。本日三回目のかりゆしを着たピカチュウに、もはや誰も言及すらしなくなった。娘達には黙っていたが、この後我々はベリッシマ行きのシャトルバスに乗るために、もう一度県庁前まで歩かねばならないのだ。
涼しいネットカフェのファミリールームで一息つき、ジュースを飲んで娘達もようやく機嫌が戻る。私は『セクシー田中さん』を読み、一人しんみりしていた。
6時過ぎ、そろそろベリッシマへ向かおうと、四回目のピカチュウを恨めしく見ながら県庁前へ。預けた荷物を受取り、シャトルバスの乗り場へ着く。ところが、係員さんと話をした旦那が戻って来て言うことには
「シャトルバスには一度チェックインしてからでないと、乗れないんだって!」
え?じゃあなんのために、わざわざ県庁前に荷物を預けたのか、それなら国際通りに預けておけば一往復分、2ピカチュウは歩かずに済んだのでは…?
内心思わなくもなかったが、言っても始まらないのでサクッとタクシーを拾って港へ向かう。何はともあれこれでベリッシマ乗船だ!
予定された10時半より4時間も早いけど、たぶん乗れると踏んで(実際乗れた)意気揚々と向かった。
時刻は夕闇迫る6時半、ついにベリッシマが視界に現れた。ものすごく大きい。
が、しかし我々はなんと言っても二回目の乗船なのだ!この大きさにビビることなくズンズン進む。前回はお盆の最中で人がごった返していたが、今回は二月で半分は台湾からの乗船とあって、拍子抜けするほど人がいない。
待ち時間もなく記念撮影にICカード作成と、驚くほど順調に進みあっという間に乗船!
前回はここから煌めくスワロフスキーの6階へと案内されたが、今回は直接客室へのエレベーターに誘導されたので、素直に部屋へと向かう。
今回二回目の乗船とあって、旦那と検討に検討を重ねた結果、部屋は13階内側キャビンにした。エレベーターホールからすぐで、階段を上がればビュッフェへも近い。これが功を奏し、五日間を通しての移動はものすごく楽だった。
初日の今日はレストランの時間指定もないので、ゆったりとプロムナードを眺める余裕があった。煌めくスワロフスキーが美しい吹き抜けも、眼下に広がる生演奏と歌声も「これだよこれ!」と懐かしさと嬉しさで胸がいっぱいになる。
あぁ、今私はベリッシマにいるんだ。夢じゃない、本当に再びベリッシマに来たんだ…。
初めての乗船もとても嬉しかったし、念願叶った喜びは途轍もなく大きなものだった。でも、二回目の喜びはまた感慨深いものがあって、もう二度とないだろうと思っていただけに、しみじみと嬉しさが込み上げてくる。
隣で旦那が、第二の故郷に帰ってきたかのように、小声で「ただいま…」と呟いていた。
予定より早く乗船できたおかげで、初日からレストランで夕食を堪能できた。
夏には恐る恐る小さな声で注文するか「ママ頼んで!」だったしぃも今回は、飲み物はコーラね、パンはフォカッチャとそれ、前菜はこれでメインはハンバーグ、デザートは…とかなり手慣れた様子。
私は前回の反省を活かして、パスタより絶対リゾットを注文する!と決めていたものの、本日はビーツのリゾットとあってかなり悩む。いやまてよ、やっぱりスパゲティにした方が…いやでもそれで前回は後悔したのだからやっぱりリゾット…いやでもビーツ…ええいままよ!と初志貫徹でリゾットにした。
結果、お米の硬さがちょうど良くやっぱりリゾットにして正解!の気持ちと、クセのあるビーツの味は好みが分かれるところで微妙!の気持ちと半々だった。
それにしても、前回はレストランが満席でクルーがとても忙しそうで、なかなか追加の飲み物を注文し辛かったのが、今回はほどよい人数でクルーも余裕があるのか、最初の飲み物を娘にサーヴしてくれる時にわらわらと四人も現れたのには笑ってしまった。一人がグラスを置き、もう一人がスプライトの蓋を開け、別の人が注がれたグラスを寄せるのを、また別の人が見守る。
ちなみに前回もそうだったように、私の白ワインはシャルドネを希望するもピノノワールしかなかった。ただ前と異なり、グラスが空になるとすぐに同じクルーが手慣れた様子で「ピノノワール!」と笑顔で注いでくれる。ありがたい。
ほろ酔いで気分良く船内を回る。今日は那覇にずっと停泊するため揺れはほぼなく、ともすると船に乗っているのを忘れそうだった。
「無料ショーも予約できるけどどうする?」
と夕食前に旦那が聞いてきたが、本日のショーはマジック「不思議のカタチ」と知り、夏に見た我々は無言で首を振る。代わりに、夏のリベンジを果たすべくバスケットコートへと向かった。
話は変わるが、二回目のベリッシマ乗船とあって、気合いの入った私は事前に「ベリッシマビンゴ」を考えていた。つまり、前回は出来なかったことや思い残したことをできるだけ色々やろうと思いを巡らせていたのだ。真ん中のFreeの欄はもちろん「ベリッシマ二回目乗船」だ。他のビンゴ項目は以下の通り。
・有料ショー観劇
・テディベア&マグカップ購入
・ジョンフィリップでチョコレート制作
・XDシネマなど有料ゲーム
・カジノでルーレット
・TVスタジオバーでカラオケ
・ホライズンバーを堪能
・プールのバーでチョコアイス(子供のみ)
・バスケットボールを持参しシュート練習
この最後のボール持参は夏の反省を活かしたもので、結果大正解だった。バスケットコートがあるスポーツプレックスは、キッズプログラムで貸切りとなる以外は自由に使用できるのに、ボールの貸し出しは決められたわずかな時間のみ、それも毎日あるとは限らないのだ。
夏に幾度となく(ここにボールさえあれば…)と思っていただけに、空いてさえいればいつでもバスケができる状態は嬉しい。特に人見知りのしぃが、コートへ行き「人が増えてきたからまた後で」とできたのは大きかった。これがボールの貸し出しを待ってだと「今しかできないんだから!つべこべ言わずにやりなさい!」と大声で言ってしまったかもしれない、いや絶対言ってしまい険悪なムードとなっていたに違いない。母娘円満のためにも、ボールがあって本当によかった。
というわけで、まだ乗船していない人もいるであろう晩の8時過ぎ、ガラガラのコートで少しだけバスケを楽しんだ。
汗をかいたので部屋でシャワーを浴び、再び船内探検へ。夏は暑くて全然いられなかった船尾やアトモスフィアプール周辺も、海風が心地よい。旦那は早速娘達に頼んで、キッズのみサービスされるチョコアイスを一口もらっていた。
まだベリッシマに乗って3時間ほどなのに、すっかりくつろいでいるのが自分でも不思議だ。まるで夏の延長のように、船から降りた日常がなかったかのように。
何を目にしても新鮮!楽しい!だった初めての興奮とはまた違う、しみじみと落ち着ける心地良さ。そうだ今ベリッシマにいるのだ。再びベリッシマに来れたのだ。
一日中歩き回り、疲れた割に夜更かしだった娘達も11時には眠り、旦那と二人で大人の時間を楽しむべく部屋を抜け出した。
お馴染みのスカイラウンジでゆったりとピアノの演奏を楽しみ、更にホライズンバーへと移動した。
とりとめのない話をしながら気がつくと日付けが変わって1時過ぎ。名残惜しくはあるものの、明日もあるし明日もベリッシマだしと、部屋に戻る。満足感とほどよい疲労感で初日の夜は更けていった。
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