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あしもとの影が濁りをうしなって 夏が終わった事に気づく わたしたちは手に入れる事ではなく うしなう事で思い知るいつも いつも そこに在ったものを 眠りにつくたびに 少しずつ澄んでゆくあなたの いのち、は何処にあるのだろう しろく清潔なひかりに満たされた場所で 目覚めるたびに 見知らぬ誰かになってゆくその人は 抱きしめてとさしのべた手を 振りほどいたあなた 許してとうずくまる子を つきはなしたあなた 家族という文字を こばみつづけたあなた、ではなく 慈母のようなまなざしで
鉢の中で語り続ける魚たちは、 見えもしないものを覗き込むように眼を開き続けている。 ええそうね、わたくしたちはそういったもの。 ひれの艶めきもつくり出す泡のうつくしさも水底に沈殿してゆくはいせつぶつも語りつづけることによりわたくしたちになるのです。等しくわたくしたちがそのようなモノであることに異議を唱えたりなどいたしましょうか。 水面にはじける言葉は、ことほぎと呪詛とを孕みながら ポンプのモーター音と共に溢れつづけている 部屋の中はしらじらと日の光に染められ 濡れた床の上