天才に生まれたかったけれど、この道も悪くなかったとやっと思えた
B級優勝してから約1ヶ月がたった。明日はいよいよA級デビュー戦で、新しいステージに立つこの感覚は記憶があやふやなほど久々です。
小6でかるたを始めて、B級までは運もありトントン進んだ。このままA級もちょっと頑張ればいけちゃうのでは?!と思った。高校入学するとき、楽観的に高校生A級にはなれると思っていたけれど、全然上手くいかなかった。大学で一生懸命練習しても、それでもA級になれないだなんて、傲慢だったけれど想像してもいなかった。色んな人に抜かれてきた。後から始めた人に負けたくないという気持ちは、大昔になくした。いつも自分と戦っていた。人と競うのは諦めたとも言えた。いつか思い浮かべていた道筋とは、あまりにかけ離れていた。
チャンスはたくさんあった。でも何度も自分で潰してきた。24回入賞した。これは全く誇れることではなく、それだけ勝負弱い人間であったということだ。中でも決勝で運命戦で負けた時と、ダッシュを取った後に準決勝で運命戦で負けたその2回はA級にあと1枚、いちばん届きそうで届かなかった。
「悔しさの数だけ強くなれる」
ようやく掴んだB級優勝は、大切にしていた恩師の言葉通りだったのだと思う。すごく良い日でも悪い日でも、特別な日だったわけでもなく、今までの延長線上にあるひとつの大会。それでもチャンスを幾度となく自分の手で潰してきた経験から、いくら勝ってても気を引き締め直して勝ちきれたし、いくら負けてても我慢して取れた。90大会で90敗した分だけの悔しい経験が味方になってくれた。
優勝した日は思いのほか涙が出なかった。次の日職域なのに、アドレナリンで目が冴えて一睡も出来なかった。2日で10試合を経てヘトヘトの月曜日、職場のトイレで急に感極まって泣いた。
失敗して自分のことを責める過去の私には、1回成功したら全部チャラになるし、プラスに捉えられるから大丈夫だよって伝えてあげたい。まずは過去のいろんな私を肯定してあげたい。そして、これまでかるたで繋がってくれたたくさんの人に大感謝を。この繋がりは宝物です。
まずは鹿児島を始めとする九州でかるたを支えてくれた人。クソガキの頃から見守ってくれて、優勝報告したら泣いてくれた恩師。高校生まで、大会ではおにぎりがお腹に入らないと言って残しても、いつも予備だと言って持たせてくれて、いくら負けても何も言わずに遠征費を出してくれた親。新幹線高いのにいつもごめんなさいって思ってた。結果出すまで時間がかかったけど、本当に感謝してます。
鶴丸の百人一首部では、土日の練習は朝6時にちかの下宿先ピンポンして叩き起して練習付き合わせていてごめん。みんなの勉強の邪魔して半強制で毎日付き合わせるなど暴走していたけど上手く手綱を引いて3年間共にしてくれた同期。OBOGになってもたくさん教えてくれた先輩たち。他にもたくさん、故郷のみなさま本当にありがとうございました。
関西で支えてくれた人。ゆるくかるたを楽しむ田辺を、急に毎日練習する場所に変えてしまったのに、付き合ってくれた田辺民、そして遠くからみずきち練に来てくれた方々、ありがとうございました。伊東さんがいっぱい遠征に連れてってくれて、負けたら歩美さんがまた一緒に練習しようって言ってくれて、4年間A級なれなかったけど楽しく続けられたのは関西のみんなのおかげでした。初めての決勝は、田辺のみんながC級でたくさん残っていてくれたから戦えました。今出川の同期や先輩も、協調性があまりなく勝手をする私を見逃していただいて、ありがとうございました。他大の皆さんとも仲良くなれて練習していただいて、幸せな学生かるたライフを送れました。関西で学生かるたをしたいという選択は大正解でした。
東京で支えてくれた人。ポッと来た私を快く受け入れてくれて、2年間移籍もせずにフラフラと色んな会に行っていたのにどこでも良くしていただいて、本当にありがとうございました。輝かしい功績を持つたくさんのベテラン選手にたくさん教えを頂けたことは、私には勿体ないのかもしれないほど有難いことでした。想像もしていなかったレジェンドと職域に出られていることも、有難いことです。まだまだ未熟ですが、これからも鍛えて頂きたいです。
4月から移籍させて頂いた千葉の皆様。移籍前から良くしていただいてありがとうございました。A級で活躍する選手と練習させて頂ける場所が、私の目線を上げてくださいました。たくさんの強いBC級選手が気を引き締めさせてくれました。特に国文祭では、強いひとの練習の仕方、調整の仕方、考え方を近くで見て学ばせて頂きました。B級の人間を国文祭3人団体の準決勝という重要な場面で起用していただいたことも感謝しています。目線が上がる貴重な経験になりました。新参者ですが、これからより一層頑張るのでたくさん取ってください。そしてみんな楽しくて優しくて可愛くて、会のことがとっても好きです。
最後に夫〜。ありがとう。ちょっとメソメソした時も、あたふた慰めたりせずに放っておいてくれるのがちょうど良かった。お互いかるたのやる気に多少の上下はあっても、どっちも低い時は無くて、結局常にどっちかはかるたのやる気があるから2人とも練習切らさずに社会人できたね。これからも2人でかるた頑張りたいね。そういえば優勝祝いの賞状の額縁、まだ買ってくれてないね?
1回目の決勝で運命戦が出ていたら、また全然違うかるた人生だったかもしれないけれど、こちらの修羅の道も終わってしまえばようやく悪くなかったと思えた。天賦の才があったら良かった、勝つことしか知らないかるた人生だったら良かったと何度も思ったけれど、この道を歩んできたから見えたものもあった。
これからA級で苦しくなることがあるかもしれない。かるた以外のことでも、もうダメだと思うことがあるかもしれない。でも何度ももう無理だと思ったことが達成出来た。この達成感を忘れない。この先の人生ぜったいなにも諦めない。
明日から始まる新しいステージに、わくわく!