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エンドレスヒール#17 -3.11

この物語はフィクションであり、登場する人物、団体等は架空のものです。

3月11日(金)16時~17時ころ

メルのカップと生き残った茶碗類は、その茶碗の底に細かな破片がたくさんついていた。払うのも下のフローリングに落とすのも危ない。

和美はカップらを、キッチンの流しに入れた。幸い流しや、流しの横の洗いあげた食器類は無事だった。

それから和美は、まだ出ていた水に雑巾を浸し、掃除に取り掛かった。
掃除機で吸ってから拭けば、間違いなく全て拭きとれる。
しかし、雑巾だけではどこまで拭きとれるのか。

拭いても拭いても取れない破片、そしてさらに細かくなった白い粉を、何度も何度も拭いた。
とにかくスリッパで歩いて安全なところまでは拭ききらなければ。
雑巾は、古いバスタオルを切った、使い捨てのものだ。ちょうど雑巾の大きさに切ってある。
バスタオルが半分以上無くなる時、やっとキッチンを拭き終えた。

暗くなる前に安全確認をしないと。
和美は廊下から玄関にかけて歩いてみた。
玄関の靴箱の上に、小さなキャラクターのぬいぐるみが置いてある。
花瓶もあったが無事だった。

しかし、足元に見慣れないものが転がっている。
それは、ガラス製のまるでお寺の鐘のような形をしていた。
何だろう。
ひざまずいて拾い上げ、和美はハッとなった。

これは、小樽の硝子館の、誰かからお土産にもらったベルだ。
中に、ベルが付いている。
しかし、それには取っ手が付いていたはず。

和美は、周りを見回した。
取っ手と、散乱した破片が、靴箱の前にあった。


続く

2011年4月3日(日)

エンドレスヒール#17 -3.11


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