結婚式(ちょっと不条理#8)
「夢?」
布団にもぐったまま、寝ぼけた頭は今見た光景を反芻している。
結婚式。
結婚式・・・だった.
会場は、舞台・またはコンサートをするような大きなホール。
椅子は、舞台に向かって並び、階段は上に行くに連れ、高く高く昇っていくように、そしてそれは、とても大きな会場だった。
客席で変わっているのは、必ず椅子と椅子の間に長テーブルがあり、披露宴の料理が並べられ、次々と飲み物やデザートなどが運ばれてくること。
親族は一番前の椅子に座り、女性は当然のように留袖を着ている。
私は、一番後ろの、会場の一番高い、上の部分から、たくさんの客を眺めている。
舞台では、新郎と新婦が、なぜか幼稚園の水色のスモックを着て、友達のアナウンスで幼稚園時代を語っている。
私のいる一番後ろは、これから出る食材や、お菓子、そして披露宴イベントのコスプレのようなコスチュームが並べられている。
おもしろい。
夢中になって、それらの写メを撮る。
ふと気づくと、こちら側の親戚は後ろに立つ私の左側の最前列。
そして右側が彼女の親戚が並んで座っているようだ。
私も留袖だ。そろそろ、夫の隣の空いている席、私の席につかなければ。
いや、彼女のご両親に挨拶するのが先だろう。
彼女側の親戚の席は、右側。
私は右側の階段を、舞台に向かって降り始めた。
大きい会場。長い長い階段。
彼女の親戚の席がかすかに見えてきた。
すると、こちらに気づいたのか。二人の女性が立ち上がった。
一人は彼女の母親。こちらを少し振り向いた女性は、彼女の母親の母親か。
おそらく彼女のお祖母様か。
目が覚めた。
・・・・挨拶する直前で、目が覚めた。
彼女のお祖母様。
私に会いに来てくれたのか。一度もあったことがない、お祖母様。
起き上がりながら、私は、二か月前、息子から来たメールを思い出した。
「彼女のお祖母さんが亡くなった」
ありがとうございましたm(__)m
結婚式(ちょっと不条理#8)
最新作「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
過去作品・無料メルマガ・ブロック解除など
HP/リザストはこちらから