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トンニャン最終章#20 大天使ガブリエル

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「リジュの巻」の次、「ガブリエルの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

テーブルのクリスタルには、世界中が映し出されていた。世界中の神々、神話の神の姿に戻った四大天使たち。クビド・リオール・チェリー・コーラ。
「トンニャン、おまえは」
「私が歴史に介入できないのは、知っているだろう」
知っている。
「はがゆいな」
「いや」
何故?
「わたしが自ら動かなくても、ちゃんと世界は動いている。人間たちを助ける選択を、彼ら自ら選んだ」
「天帝に逆らうなんて、四大天使がするとは思わなかった」
 
トンニャンは、アスタロトを、アスタロトの自宅とそっくりのソファーに誘い、さらにローズティーを勧めた。
「リジュの本当の大切さに気付いた。それなのに、何故サーティを救ってしまったか、悔んでいるのか?」
アスタロトは、横を向いた。
「おまえはわかっていた。リジュが転生することを。転生した後、妖精としてその一生を全うした方が、リジュの幸せだと」
 
「トンニャン、サーティはどうしてリジュを助けようとしたのだろう。サーティほどの力があれば、あの渦からリジュを救えないことくらい、わかっただろうに」
トンニャンは、自身も一人用のソファーに座り、ローズティーを口にした。
「アスタロト、本当はわかっているんじゃないのか?」
 

わかっているのかもしれない。
「サーティは、強がっているがさびしい女だ。何でも見通せる眼を持ちながら、自分のことはわからない。ルシファーに見通したこと、天上界までも見えたことは、全て報告しているのは、知っているな。
しかし、リオールとサーティに力を与えたルシファーが、サーティの出来ることが出来ないと思うか?」
「それは?」
「出来るに決まっている。リリスの腹を借りて生まれたリオールとサーティは、ルシファーひとりの子ども。彼らに与えた力は、ルシファー自らも持っているものだ」
「では何故?」
 

「温存」
「温存?」
「ルシファーとて、疲れを知らないわけじゃない。ミカエルに翼を貫かれて堕天したのは知っているな。何か、事が起きた時の力を温存している」
 

「リオールは?」
「あぁ、あれはクビドと会わせた時に、わたしが頼んだ。もうひとつある球体を貸す条件として、リオールを一人前の天使として修業させてほしいとな」
「全て、この時を見越してか?」
トンニャンは、にっこりと笑った。
二〇一二年平成二四年七月六日(金)朝方三時五分

トンニャン最終章#20 大天使ガブリエル

※トンニャンがクビドに、リオールの修行を頼んだシーンはこちらから
(これは、歴史に介入してないと言い切れるのだろうか?)
https://note.com/mizukiasuka/n/n8a0281b33781

※この物語はフィクションであり、登場する人物、設定、全て架空のものです。
また、特定の宗教とは全く関係のない、完全フィクションです。

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回トンニャン最終章#21 ミカエルとルシファーへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n604d1a71c1d9

前回トンニャン最終章#19 ガブリエルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nafd953becb15

トンニャン最終章、最初から読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/mb128933fa182

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