トンニャン過去編#52 コーラ・デビル(原題「フェニックス」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ビリーの巻」の次。「コーラの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです
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ルシファー、わたしは間違っていたのだろうか」
トンニャンは再びルシファーの城にいた。
「・・・リリスの事か」
「おまえに、コーラの魔力を奪う事を頼んだのは、コーラを成長に導く為だった。コーラは、ただの魔女にはないものがある」
「・・・わかっている。だからこそ、わたしもトンニャンに同意した。納得の上で、魔力を奪ったのだ」
「まさか、リリスが・・・。」
トンニャンが舌打ちをして、ルシファーの城の柱に拳をぶつける。
トンニャンは、はたと思いあたったように、ルシファーに顔を向けた。
「ルシファー、わたしがコーラについて行こう。」
「トンニャン?」
「コーラは魔法が使えないのだからな」
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「トンニャン、どこ行ってたの?コーラが大変なのよ。熱があるみたい。人間の医者に見せるわけにいかないし・・・」
トンニャンはチェリーの質問に答えず、コーラの部屋に入っていった。
そして、熱に浮かされているコーラを起こすと、着替えさせた。
「何してるの?コーラは熱が・・・」
トンニャンはコーラを立たせると、その両手を握り締め、コーラを見据えた。
「コーラ、しっかりなさい」
「・・・もう、覚悟は出来てるわ」
「覚悟?何の覚悟よ?私のような小さな存在に黒い封書が来た。それはもう、命がなくなったも同じ事」
突然トンニャンがコーラの頬を平手で叩いた。
「何するの?コーラは熱があるのよ」
割って入ったのはチェリーだ。
「チェリー、私とコーラは、これから出かけなければならないの」
「出かける?熱があるのに?」
「チェリー、あなたは何も出来ないの。黙って行かせて」
トンニャンはチェリーを無理やりどかせると、コーラの手を引いた。
「行きましょう、コーラ。私も、一緒に行くわ」
黒い封書は、リリスの魔女裁判の呼び出し状だ。罪状は、勝手に魔界を飛び出した事。しかし、真実は・・・。
「リリスは、コーラのルシファーへの気持ちに気づいた。早めに芽は摘んで置いた方がいい。そう判断したに違いない。でなければ、たかが下っ端の魔女に、魔女裁判の呼び出しなど、来るはずがない。」
トンニャンとコーラは魔界目指して飛んでいた。
たくさんの悪魔達がひしめく中、コーラとトンニャンは、魔女裁判の法廷にいた。ざわめく法廷は、魔女裁判長リリスの登場を今や遅しと待ち構えている。悪魔達の目は一様に冷たい。
リリスを待つコーラは、静かに一点を見つめている。そんなコーラの手を、トンニャンがしっかりと握っていた。
やがて厳粛に、ルシファーの妻、魔女裁判長リリスが現れた。騒がしかった会場は静まり、裁判が始まった。
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#52 コーラ・デビル(原題「フェニックス」)
※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。
【「炎の巫女」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024
次回トンニャン過去編#53 コーラ・デビルへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n7677cfb2fbda
前回トンニャン過去編#51 コーラ・デビルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nc6106d347590
■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d