トンニャン過去編#50 ビリー・グレープ(原題「フェニックス」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「エレンの巻」(原題「天使チェリー」最終話)の次。「ビリーの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです
お別れパーティー当日は、たくさんの人で賑わい、皆でミセス・ガンをお祝いした。
ビリーは皆から少し離れて一人でいた。華やかな席で、チェリーを見るのは、今のビリーには辛かった。
「ビリー?ビリー・グレープ?」
華やかな席で、ひときわ華やかな花が、ビリーに声をかけた。
「エレン・・・ピース?」
エレンは、やや朱色のドレスで、まさにパーティーの華というべき姿をしていた。
「どうして、ひとりで?」
「いや・・その」
エレンは、ビリーの困った様子に、自分の身勝手な質問に赤面した。
「私ったら、なんて失礼な事を・・。ごめんなさい。ぶしつけな事を言ってしまって」
「いや、いいんだ。ちょっと、考え事していただけなんだ。気にしてくれて、ありがとう」
ビリーがニッコリと笑うと、エレンも少し微笑んだ。
さて、いくつかの出し物があり、ついにマジックサークルの出番だ。
「ね、よく考えると、胴体切りなんて、胎教に悪いんじゃない?」
チェリーはにわかに心配になってきた。
「何言ってるの、ずっと前に決めていたことなのに、今さら。ね、トンニャン」
トンニャンは、真っ赤なチャイナドレスに、付け髪なのか、結い上げられたチャイニーズ風の髪型をしている。
「大丈夫よ。それに、胴体切りじゃなくて、首切りだから」
はじめは簡単な手品・輪・はと・ウサギ等を使ってのパフォーマンス。そして、コーラのジャグリング。チェリーは初めてコーラと会った時も、コーラがジャグリングをしていた事を思い出した。
さあ、いよいよ恐怖の人間切り。コーラはベッドの上で横たわり、上から落ちるギロチンのような刃物を見つめた。
ふふ・・・ちょっと細工してやれ。
・・・・・あれ?魔法がきかない。何、これ?身動きできない。
コーラは口もタオルでふさがれ、声も出せない。
嘘!このままじゃ、首が飛ばされる。いくら魔女でも首が飛べば、命が無くなる。そんな、どうして魔法が使えないの?このままじゃ、死ぬ!
トンニャンがなにやら呪文を唱えた。
いや、ただのパフォーマンスだ。このギロチンの細工は、コーラ一人でやることになっていた。誰もこれに細工はしていないのだ。
チェリー、トンニャン、気づいて!
魔法が使えない!!
二〇〇七年平成十九年七月二十九日(日)朝六時(原文一九七七年三月)
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#50 ビリー・グレープ(原題「フェニックス」)
※チェリー・コーラ・トンニャンの、人間界での、いわゆる高校二年生が始まりました。そして、今回から三人はルームメイトになります。
少女であるトンニャンと、天使チェリー・魔女コーラは、どんな友情を紡いでゆくのでしょうか。
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※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024
次回トンニャン過去編#51 コーラ・デビルへ続く
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前回トンニャン過去編#49 ビリーグレープはこちらから
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■トンニャン過去編#1最初から
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