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トンニャン#55(番外編)クビドとリオール(ちょっとBL苦手な方はスルーで)

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「クビドリオールの巻」のような意。話の位置は前回の「ラファエルの巻」の次。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「もちろんだ。コーラと出会ってから、同じ城にいながら、ほとんど顔を合わせる事はなかった。それに、コーラを自分の城に連れて来た時、一度だけサーティが来たことがあった」
「あぁ。」
「その時だって久しぶりに話したんだ。それに、それ以来、会ってなかった」
「兄妹なのにか?」
「もともと結婚するはずの相手だったんだぞ。コーラと一緒に暮らすようになってから、会えるはずがない」
クビドはカップをテーブルに置くと、首を振って腕を組んだ。

 
「わからないな。ひどい事はしたとはいえ、ずっと会っていない。さらに、サーティはアスタロトと結婚した」
「俺だってわからないさ。突然、サーティから呼び出されたんだ」
「行ったんだ」
「兄として、断る理由がないだろ。コーラと俺はずいぶん前に結婚していたし、サーティも結婚した。兄妹が会うのに、何か大きな理由が必要とも思えない」

「おまえ、サーティに負い目があったな?」
「そうかもしれない。断れなかったんだな」
リオールは思い出したように銀色の巻き毛にふれると、思いきり頭を振った。
 

「落ち着けよ」
クビドがカモミールを入れなおしている。リオールのバサバサになった髪はくせ毛のせいか、ちょっと指を入れただけでまたきれいな巻き毛を作っている。
「拒めなかったのは俺の弱さだ。でも、絶対に自分からじゃない」
「女に誘惑されて拒めなかったと?」
「ほかに言いようがないよ。サーティの新しい城のサーティの部屋は、俺達が育った城のサーティの部屋とそっくりに作ってあった。」
「サーティと初めてキスした部屋だ、なんて言うなよ」
リオールはうつむいた。
 
「・・・図星か?あきれたな」
「仕方ないだろ。若い時には想い出のひとつくらいあるじゃないか」
「まあ、それはな」
それからクビドは、改めてリオールに向き直った。

「その、一回目は誘惑された。間違いだった。と言い訳できるかもしれない。問題はその後だ」
「・・・わかってる」
「その後、何度もサーティの城に通ってるな?」
リオールは横を向いてかすかに首を揺らした。
「いくらコーラにばれてないからって・・・」
リオールは、突然声を上げてクビドの言葉をさえぎった。

 
「あいつは、サーティは何もかも知ってるんだ!クビドとの事も・・・。それに、アスタロトは俺の事を知っていて許している」
「サーティがわたし達の事を知ってるって?」
「来なかったら自分との事をコーラにばらすと・・・」
「おどされたのか?何が目的なんだ?」
力なく首を振るリオールに、クビドもなすすべもなく言葉を失っていた。
 
二〇〇八年平成二〇年三月二十三日(日)

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン#55(番外編)クビドとリオール(ちょっとBL苦手な方はスルーで)

※トンニャンのお話は、いったんここで途切れます。次回から、「トンニャン最終章」突然ですが終わりに向かいます。
何故?
私が、最終章までの「間のお話」を書いていないからです。
生きているうちに描けるのか、わかりませんが、まずは、決まっている最後の物語、次回から最終章となります。

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

※トンニャンが全部読めるマガジンはこちら
https://note.com/mizukiasuka/m/mf04f309d9dfc

前回トンニャン#54クビドリオールはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n32a8907901c4

最初からトンニャン#1は
https://note.com/mizukiasuka/n/n2fc47081fc46

次回から「トンニャン最終章」です。


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