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ある独白#23

葛城博士の葬儀の後、

耀子竜次は住み慣れたマンションを出て

自宅に戻って来た。

耀子はすでに博士と呼ばれるようになっていたし、

介護ロボット、災害救助ロボット、家事ロボットと、

数々の発明品を世に送り出していた。

竜次のように人型で、プログラムにより

人間のように行動するロボットは製造禁止されていたが、

それ専用に使役される実用型ロボット

人間たちになくてはならないものとなっていた。

耀子は父と同じようにこの家で研究を続け、

誰にも邪魔されず、竜次と二人だけの蜜月を過ごした。

さらに三十年の時が過ぎた

耀子は死の床にいた。

竜次が付き添い、手を握っていた。

もうすでに 齢八十を数えようとしていた。

最後の時、耀子竜次との出会いからの数々の想い出を

とりとめもなく話し続けた。

耀子の言葉が途切れた時、竜次が言った。

耀子、本当のことを言ってほしい。

きみがいなくなった後、僕にどうして欲しい?」

耀子はすぐに言葉がでなかった。

「・・・竜次、最後にわがまま言ってもいい?」

竜次がうなずいた。

「この家は処分して、どこかの福祉施設に寄付してほしい。

私は子供は生めなかった。

でも、たくさんの発明品を残したから、それで満足よ。

ただ死んで残る財産が少しでもあるなら、

それは誰かの役に立ててほしいの。

それから・・・」

耀子は言葉にするのをためらった。

耀子、いいんだ。きみの思うとおりに僕はしたい」

耀子は思い切って口にした。

竜次・・・私と一緒に死んでほしい」

竜次は深くうなずいた。

「そう言ってほしかった。嬉しいよ、耀子

この家の始末がついたら、必ずきみのもとへ行く。

約束する」

「約束しなくたって、竜次が嘘ついたことなんてなかったわ。

信じてる」

耀子の目から、ひとすじの涙がこぼれた。

ありがとうございました(;_;)

ある独白#23我が永遠の鉄腕アトムに捧ぐ


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#24へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n740a2336c7f2

#1最初からは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nb5ab031cb177


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