見出し画像

トンニャン過去編#51 コーラ・デビル(原題「フェニックス」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ビリーの巻」の次。「コーラの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです

コーラの頭の真上からギロチン台の大きな刃が落ちてきた。
・・・ルシファー様!!
 
「さ、コーラ、立って」
トンニャンの声に、コーラは夢うつつで立ち上がる。会場からは、大きな拍手がおこっている。
「・・・トンニャン、あの、ギロチン台の細工は・・・?」
「細工?」
「細工してあったの?」
「あたりまえでしょ?細工しないで、どうして生きていられるの?」
 
マジックショーは好評のうちに幕を閉じた。
 
 
 
パーティーが終わる前にコーラはマンションに戻っていた。
ギロチン台のマジックについて、もちろん納得がいってなかった。
だが何より、魔法が使えない。こんな事は初めてだ。
コーラは、チェリーやトンニャンに魔法が使えないことを知られるのを恐れた。それは、魔女としてのプライドだったかもしれない。
特に天使のチェリーには知られたくなかった。
 
コーラは、ソファーに寝そべって、考えをめぐらす。
何故魔法が使えなくなったのか。
ふと目を横にやると、テーブルに見慣れない封筒が見えた。
黒い封書・・・。
コーラは飛び起きた。震える指で封を切る。
そして・・・。
 
 
 
トンニャンは、チェリーより一足先にマンションに戻った。
リビングに入ると、コーラがテーブルに手をかけしゃがみこんでいる。
コーラの眼は、どこを見ているのかうつろだ。
トンニャンが、コーラに近づくと、おもむろにコーラが立ち上がった。
「返して!」
コーラはトンニャンの襟首をつかむと、しがみつくように迫った。
「私の魔力を返して!」
トンニャンは、なあんだ、という顔をした。
「ダメよ」
「困るの。困るのよ。私・・・私・・・」
コーラはまた腰を落とした。
その時、トンニャンの眼に、テーブルの封書が飛び込んできた。
それは真っ黒で、何も書かれていない。
トンニャンは少し眉をひそめ、その封書を開けて、中の黒い手紙を開いた。
「・・・リリスの魔女裁判があるのね?」
コーラはトンニャンの足元で、気を失って倒れた。
 
 
 
チェリーが帰って来た時、コーラは自分の部屋のベッドで眠っていた。先に帰ってきたはずのトンニャンがいない。
何か、おかしい。おかしいとは思ったが、何がおかしいのかわからない。天使であるチェリーには、決して解り得ない、想像もつかない事が起こっているなど、知る由もなかった。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#51 コーラ・デビル(原題「フェニックス」)

「魔女裁判長リリス」は、ここで初めて登場します。その頃の私は、「リリスはルシファーの妻」である以上の認識を持っていませんでした。
この話の続きが、後の20年以上後に書いた「トンニャン」の「魔女裁判長リリス」に影響してきます。彼女の人間性は(人間じゃないけど)どんなふうに見えるでしょうか。
トンニャンシリーズ「魔女裁判長リリス」
https://note.com/mizukiasuka/n/n9a39be1b5bde?magazine_key=mf04f309d9dfc

【「炎の巫女」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024

次回トンニャン過去編#52 コーラ・デビルへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/ne85e08d6563d

前回トンニャン過去編#50 ビリーグレープはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/ne458e0a0e0aa

■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

もしよろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。いつも最後までお読みいただき、ありがとうございますm(__)m(*^_^*)