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トンニャン過去編#29 ボビー・グレープ(原題「天使チェリー」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

時間が動き出した。
コーラが、身体を起こすとトーニとアリスが真っ先にそばに走り寄った。
「大丈夫?コーラ」
「もちろんよ。お芝居なんだから」
「もう、心配させないでよ」
トーニが、コーラの胸に顔をつけて肩を抱いた。
「コーラ、無事だったんだ」
見ると、トム、そしてネッドとルーシーも心配して来てくれていた
 
「良かった。死んじゃったかと思った」
エレンが涙を浮かべながらトンニャンに抱きついた。トンニャンはそれを受け止め、王子が姫を抱きしめるように、エレンに腕をまわした。
ネッドはアンを見ていた。劇中、エレンにトンニャンがキスした時のアン。そして、今、エレンを抱きしめているトンニャンを見つめるアン。

 
「アン!」
突然アンが飛び出していった。ネッドはルーシーと一緒だったにもかかわらず、アンを追いかけていった。
 
 
「アン、待てよ」
ホールの裏手に来て、アンはネッドに腕を取られて足を止めた。
「離して!ネッド。」
「離さない。もう、離さないよ。俺、わかったんだ」
アンはまだ抵抗している。
「何がわかったのよ?」

「アン、二年前の夏休み、俺達二人だけで遊びに行った事あったよな。
あの、公園で人がたくさん倒れた時」
アンは抵抗するのをやめて、顔を背けた。
「あの時の事、少しだけ思い出した。俺、噴水の水に閉じ込められたんだ。
コーラとトンニャンが戦ってるシーンで、トンニャンがコーラを刺した時、その時のトンニャンの顔、俺、覚えてる」
 
アンはやっとネッドを見た。
「水の中から助けられて、目覚めた瞬間、目の前にトンニャンがいたんだな。そうだろ?」
アンはうなずいた。
「あれが、出会いだったんだな」
また、アンがネッドから目を背ける。
「トンニャンは人間じゃないんだな。アン、最初からわかってたんだな?」
「・・・そうよ。わかってたわ。だから、どうしたの?」
「俺、あきらめないよ、アン。
アンがいくらトンニャンが好きでも、人間が相手になれるわけないじゃないか」
「そんなこと、言われなくてもわかってるわよ。」
 
ネッドは突然アンを引き寄せた。そして無理やりアンの唇を奪った。
「いや・・・!」
アンが再び抵抗するのも構わず、ネッドはアンを抱きしめる。
「アン、トンニャンとはいずれ別れて、永遠に会えなくなる。人間じゃないんだから」

続く
ありがとうございました。

トンニャン過去編#29 ボビー・グレープ(原題「天使チェリー」)

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。
今回は1970年代に描いた、トンニャン過去編「ネッド・グラウンド」の続きです。

トンニャン過去編#30 ボビー・グレープ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n5efd3a7a5cd4

トンニャン過去編#28 ボビーグレープこちらから

https://note.com/mizukiasuka/n/n7ebdd88bbabd

トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

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