元祖 巴の龍#40(相関図付)
「しかし、朱欄は蛇骨の前衛基地でもある。つまり、簡単には突破できないということです」
「では西燕山を越えて粛清に行き、粛清より南に下り、蛇骨に向かうと」
菊之介は首を振った。
「いいえ、少し違います。新城・安寧と来て、我々は手強い妖怪と戦って来ました。また不思議な力で白龍は凍り、勝つことが出来ました。
しかし、自らが勝てる力がなければ、この先は進めません。粛清は工業の盛んな土地です。
そこでわたし達は、最強の武器を手に入れなければなりませぬ」
「最強の武器」
「そうです。それに粛清は、蛇骨に近いわりには三つ口の支配が手薄とも聞いております。少し時間をかけて腕を上げなければ、三つ口には勝てませぬ。それにはちょうど良い場所と思われます。
ただ、そのまま蛇骨に行っても、ほんとうの意味で三つ口に勝ったとはいえません。なぜなら、朱欄には三つ口の精鋭がいるからです。
ですから、いったん粛清に行き、機を見て再び朱欄に向かう。これが上策と考えます」
「しかし、その間に母上にもしものことがあったら」
「いいえ、その心配はないでしょう」
三つ口の義父上は母上を愛しているから、と言おうとして菊之介は口を閉じた。
言っても大悟にはわかってもらえないだろう。それより、そのこと汚らわしく思うに違いない。
菊之介の命を救うために三つ口の妻となった桔梗を、理解しろと言っても、大悟は体で拒否してくるだろうと思った。
「定継が、蛇骨に来い、と言ったのだから、わたし達が蛇骨に行くまでは母上の命は大丈夫だと思います。
大悟は初めてあった母の、頬にふれた冷たい手を思い出していた。
母を助けたい気持ちは溢れんばかりだが、菊之介の言う通り今の二人には勝ち目はなかった。
大悟は桔梗に心を残しながら、粛清に行くのを承諾した。
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時は少しばかり遡る。
兵衛・葵・洸綱が粛清にたどり着いた時、もう桜が咲き始めていた。洸綱は町外れに手ごろな家を借りて、子供を集めて算術などを教え始めた。来良にいた時も、同じことをして生計を立てていた。
続く
ありがとうございましたm(__)m
※相関図、写真が下手で、曲がってて、すみません。2001年作成。
「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
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