ある独白#17
翌日 さすがに二日酔いも抜けて
耀子はベッドをはい出した。
ダイニングには朝ごはんが用意されていて
テーブルに手紙があった。
竜次からで
『研究所に休職届を出しに行く』
と 書いてあった。
耀子は朝ごはんを平らげると、
シャワールームに向かった。
風呂は、耀子の行動を予期したように沸いていた。
ゆったりと湯につかりながら、この二日間を振り返った。
風呂から上がった時、耀子には
新たなる考えがうかんでいた。
竜次が休職届けを出して帰ってくると、
風呂から上がってルームウェアに着替えた耀子が、
ソファーに寝そべっていた。
「竜次、ごはんおいしかったよ。お風呂も気持ち良かった」
竜次はほっとしたように、耀子に近づこうとした。
「竜次、ホコリまみれだよ。外は空気悪いから、シャワー浴びてきたら?」
いつもなら軽口をたたく竜次だったが、二日酔いの姉の言うこと
と 判断したのか、黙って言うとおりにした。
竜次が風呂からあがると、耀子がコーヒーを入れてくれていた。
料理は竜次任せの耀子だったが、たまにはコーヒーやお茶くらい
入れる時があった。
太陽エネルギーの竜次は、飲み物を入れる袋が体の中にあった。
これは食べ物も入るもので、人前で食事することができた。
もちろん、後で中身を捨てて、洗浄する必要があったが。
「竜次、ここ来てもう四年だね。最初の半年は『使用人』だったけど
すぐに『弟』になって・・・。楽しかったなぁ、この四年間」
燿子が急に奇妙なことを言い出したので、
竜次はいぶかしげに耀子を見つめた。
「私ね、決めたの。
私はもう・・・結婚はあきらめたわ。一生研究に捧げる。
子供も生まない。・・・・もう、恋愛もしないし、男の人とつきあう気もない。
パパが竜次を作ったように、私にしか作れないものを
きっと発明するわ」
「姉さん・・・」
耀子はコーヒーを一口飲むと、竜次を向き直った。
「竜次、あなたは完璧なロボットだわ。いえ、完璧な人間だわ。
パパの言うのが本当なら」
「何、言ってるの?」
耀子は立ち上がって竜次に近づいた。
自然竜次も立ち上がる。
「竜次、私の『恋人』になってほしいの。
今日から、弟ではなく恋人に・・・。」
竜次は黙ってうなずいた。
竜次の唇が重ねられた時、
耀子は知らず陶酔の中に埋没していった。
ありがとうございました^^;
ある独白#17我が永遠の鉄腕アトムに捧ぐ
最新作「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
過去作品・メルマガ・マインドブロックバスター
HP/リザストはこちらから
3分で1個 心のブロック解除
#18へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/ne565e449b000
#1最初からは、こちらか
https://note.com/mizukiasuka/n/nb5ab031cb177