ティーンエイジ#6
来た道を引き返し、再び門の前を通った。
かつて国鉄のアパートだったこの土地に、私は青春の10年を過ごしたのだ。
入口から指さして
「この門の北側に、おかあさんとおじいちゃんとおばあちゃんとおじちゃんが住んでいたんだよ。」
と 言うと また涙が出た。
いなくなったインコのピーコが ふいに思い出された。
「おかあさんが、小5から二十歳まで住んでいたの。」
こみ上げるものがあった。
よく買い物に行った物資部。
夏のラジオ体操、自転車の練習をして転んだ坂、
ケンケンパ、かごめかごめ、通りゃんせ、くるまんとんてんかん(だるまさんがころんだ)
紙芝居屋さん、お友達の誕生会、弟と同じ部屋からながめた風景、
広いアパート内の小さな公園、幾本かの木々・・・
・・・みんな・・・みんな・・・無くなってしまった・・・。
「お母さん泣くなよ。俺が泣かしてるみたいだろ。」
眉にしわを寄せて息子が言う。
私は 涙をぬぐった。
そして 黙って来た道を戻りながら、
宮城の萩公園への道を探していた。
終わり
2002年8月
ティーンエイジ#6
ありがとうございました(ToT)/~~~
「SIRIUSの小箱」ってなあに?
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かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね
ティーンエイジ#1最初から こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n1798f3cffe84
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