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エンドレスヒール#71 -3.11

2010年5月~8月

片道約一時間、バス・地下鉄を利用して仙台市の中心部の学校に通った。様々なクラスがあるが、和美が入学したのは

2級ヘルパー
視覚性障害者ヘルパー
全身性障害者ヘルパー
介護事務

が勉強できる 三ヶ月コースだった。
上記 三つの資格は勉強と実習で取得できる。
しかし、介護事務だけは勉強はするが 取得試験があり、後日希望者のみ受験するシステムだった。

クラスは30人ほどで、男女とりまぜて 18歳から60歳まで年齢も様々だった。
この福祉の仕事がしたい、という共通点は同じだが、それぞれの事情は様々で、一人でお子さんを育てている人、事業拡大のため現在の事業に福祉事業を取り入れたいと考えている人、この仕事で家族の生活を支えようと考えている人、一生の仕事として福祉を選んだ人、パートで働ければと考える人。

30人もいれば、様々な考え方と生き方がある。
仙台市内の四つの区・太白区・若林区・宮城野区・泉区はもちろん、石巻・多賀城・塩竃・七ヶ浜・亘理、名取・白石など、遠くから通っている人も多かった。

勉強も実技も、年齢が高い和美は覚えが悪く、さらに もともと不器用なため苦労が多かった。
しかし、年齢・性別を越えた、同じ目的を持つ者同士の勉強は、総じて楽しかった。
短い三ヶ月という間の 本当に短い お付き合いだったが、あんなに必死で勉強したことは、若い時の学生時代を通じても、おそらく初めてだっただろう。

実習は、施設2日・デイ1日・ホームヘルプ1日。
このホームヘルプは自宅への訪問介護だが、この1日を和美は介護タクシーを希望した。
途中、先生から 知的障害者施設実習により「障害者ヘルパー」を取得できると話があり、希望者のみ実習が追加された。

実際、障害者ヘルパーを希望した人は、和美を含めて2人。
介護事務試験は10名希望し、卒業の最終日曜だったが、発表は卒業後だった。

和美は両方希望し、
金曜日に障害者ヘルパーの実習
日曜日に介護事務の試験
月曜日がグループでのバリアフリーを調べる課外学習
火曜日そのレポート発表

そして、水曜日、卒業式
というハードスケジュールの中、8月中旬に卒業した。

正直、介護事務の勉強は、最後の一週間、実習をはさんでの勉強で、ヘルパー講座の最後の一週間は、あまりの忙しさに眠ったかどうかも覚えていない。

卒業してホっとした翌日から 旧盆だったこともあり、介護事務の合否発表は お盆後に自宅に手紙で届いた。

和美は、結局 

2級ヘルパー
視覚性障害者ヘルパー
全身性障害者ヘルパー
介護事務
障害者ヘルパー

の 五つの資格を取得した。

そして、8月下旬からの就職活動で、9月から現在の老健に勤め始めた。

2011年5月27日(金)

エンドレスヒール#71 -3.11

私は泣いていない。理屈で理解しても、感情では納得していない。
私はもう一生、大丈夫にもならないし、落ち着くこともないだろう。

次回 エンドレスヒール#72 最終回へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/nd48cc04a01fa

前回 エンドレスヒール#70 は こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n7a6591a86a52

エンドレスヒールをまとめて読めるマガジンは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921



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