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元祖 巴の龍(ともえのりゅう)#86
菊之介と兵衛の太刀が刃を交えると、また桔梗の太刀が光りだした。はっと我に帰る兵衛。その時二人めがけて大悟の矢が。
菊之介は一瞬兵衛を突き飛ばし、向かってくる矢を蹴り上げた。
「ロン、またカンフーに助けてもらったぞ」
菊之介はひとりそうつぶやくと、桔梗の太刀を大悟に向かってかざした。
大悟も太刀の光を浴びて正気を取り戻した。
「おのれ、我が息子でありながら、わが身に帰らんとは・・・。この上はその命、奪ってくれよう」
龍王が立ち上がって、腕を伸ばし鋭い爪で引き裂こうとしてくる。
大悟は弓を弾き絞って龍王めがけて解き放った。兵衛と菊之介は、龍王の爪をかいくぐり、龍王の懐に飛び込んだ。
二人の太刀が龍王の腹を裂き大悟の矢が龍王の心の臓に突き刺さった。
龍王は堪える様子もなく笑っている。その時、巴の龍が一層光りだし、その輝きは大悟の矢に力を与え、ズブズブと突き刺さって行く。
すかさず、斬りつける菊之介と兵衛。
「そ・・・そんな馬鹿な。巴の龍の光は、このわたしが与えたはず。何故それにやられるのじゃ」
その時、薄暗がりの洞窟に一筋の光が差し込んだ。それは、月の光。
桔梗がいくさで逃げていた時、助けてくれたあの輝く光。
追手を、妖怪を一掃させたあの輝く月の光が差し込み、洞窟を明るく照らし始めた。
「違う、この光は三つ首の龍を桔梗に与えるために利用した、月の光。
月が、人に味方すると?このわしを裏切ると?」
月の光に力を得た巴の龍は、清き三兄弟の力となり、龍王を斬りつけるのをやめない。弓がまた放たれるのが見える。
「やめろ、やめるのだ。おまえたちは、わしが与えた命。わしが死ねば、おまえ達も消えるのだぞ」
大悟の矢が龍王の目の前まで飛んできている。菊之介と兵衛は斬りつけるのをやめない。大悟の矢が龍王の額を割った。
その瞬間、龍王が倒れた。龍王が倒れると共に、兵衛・大悟も倒れた。
そして龍王の体が消えてゆくのに連れて、兵衛、大悟の体も少しずつ消えはじめた。
菊之介は足元から自分の体が消えていくのを感じていた。ふと見上げると、桐紗がふわりと降りて来た。
続く
ありがとうございましたm(__)m
「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
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