Love's night #18
「ご両親に連絡した方が・・・」
勢は 思いきり首を振った。
「ダメです。
ボクの家、そこでは有名な名家なんです。
帰れません。もう 道も歩けない。
親や親せきにまで そんな思いさせられない」
「だけど、まだ高校生だろう?それに本当にキミの子かどうか・・・」
「ボクの子かどうかなんて、関係ありません。
ボクが一年前、あの女の人と犯した あやまちは消えないんです」
比留川は ため息をついた。
「いまどき、という気もするが、まぁ高校生が父親になれば、確かにどこでも大騒ぎだろうな。
しかし、これから どうする?」
勢は下を向いて答えようとしない。
いや、答えられないのだろう。
比留川は勢を見つめると、優しそうに微笑みかけた。
「やはり、似てるな」
勢は えっというように顔を上げた。
「死んだ妻にね。もう五年になるかな。
子供の頃からのつきあいで、あたりまえのように結婚した。
それが 一人娘を残して 急に 逝っちまった」
比留川の顔が 歪んでいるようだ。
「キミを公園で見つけた時、妻にまた会えたかと思ったよ。
娘を抱いていた妻と キミが重なってね。
いや、顔がそっくりってわけじゃないんだ。たぶん、ほかの奴には わからんだろうな。
娘だって、キミを見て母親に似てるとは 思わんだろう。
感じというか、雰囲気というか、キミは男なのに、変だな。
でも、俺には どうしても キミが妻の再来のように思えるんだ。」
勢は 何と答えて良いかわからず、また下を向いた。
「契約・・・しないか?」
「え・・・?」
「契約さ。キミと キミの子供の生活にかかわる、契約」
勢は、比留川の甘いささやきに心奪われるように、お互いの利を求めて、
生きるための 契約を結んだ。
ありがとうございましたm(__)m
Love's night #18
最新作「駒草ーコマクサー」
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね
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