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トンニャン最終章#17 大天使ガブリエル

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「リジュの巻」の次、「ガブリエルの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「ブラックエンジェル、アポロンはどこへ行ったんだ?」
ブラックエンジェルは天を見上げた。
「まさか・・・」
 
「アポロン様は、もういらっしゃらない。天上界に帰られたわ」
「帰った?」
 
「この惨状を見ながら帰ったと?」
「アポロン様がいなければ、太陽は輝かない。これでいいの」
「何を言ってる??」
ベールゼブブは、雨やまぬ空を見つめて、またブラックエンジェルに向き直った。
「・・・おまえが誘惑した天使長は・・・」
「思い出せないわ。前にも言ったでしょ。その記憶だけ、消されているの。思い出そうとすると、痛みに苦しむ。だから、アポロン様は、思い出さなくていいって」
 
ブラックエンジェルは夢見心地で話している。まるで夢見る少女のように。かつての美しいエンジェルスのように。
 
「何か、アポロンが言い残したことは無いのか?」
「言い残したこと?あぁ、コーラのことね。コーラを頼むって、言われたわ。優しい方。」
「コーラを頼む?どういう意味だ?」
ベールゼブブには。全てが解せない。
 
「何か、アスタロトのことを言ってなかったか?」
「アスタロト?」
首をかしげるブラックエンジェル。
「アルテミス様のことは、言っていたけど」
「なんて?」
「本当に、天上界に飛び立つ直前だったわ。『アルテミス、すまない』って」
「すまない?」
「えぇ、でも聞き取れないほどの小さな声だった。」
 
ベールゼブブがアスタロト達がいた方向を見ると、すでにウリエル・ガブリエルの姿はなく、アスタロトがサーティを抱き上げたまま、雲の裂け目に入ろうとする姿が見えた。
 
「アルテミス・・・アナト・・・アスタロト。」
 
 *********
 
ガブリエルとウリエルは、飛びながら移動している。
「ガブリエル、いやアテナ。懐かしいな。その甲冑はアテナとして君臨していた頃のもの」
「そう、久しぶりにアルテミスに会って思い出したわ。私は戦いの女神・アテナ。そして」
「ミカエルは、軍神マルスだ」
「えぇ、今頃軍神として、人々を助けているはずよ」
「巻き込んでしまったな」
「違うわ、ウリエル。思い出したのよ。私たちは、人間を助け導く天使であり、神であると」
「告白しなければ良かったな」
「どうして?」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#17 大天使ガブリエル

※アスタロト、ベールゼブブが堕天して、魔界に堕とされた時のシーンはこちらから
アスタロト公爵編「悪魔の君主アスタロト公爵」
https://note.com/mizukiasuka/n/n56537a1fa052

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回トンニャン最終章#18 ガブリエルへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n0f65bcaa0bd7

前回トンニャン最終章#16 ガブリエルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n6339a08dd620

トンニャン最終章、最初から読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/mb128933fa182

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