トンニャン過去編#61 フェニックス(原題「フェニックス」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ミセス・ボニーの巻」の次。「フェニックスの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです
「・・・チェリー。・・・チェリー。」
遠くで誰かが呼ぶ声がして、チェリーは目が覚めた。枕元には、心配そうなコーラがいる。
「良かった。少しうなされていたから、大丈夫かと思って。」
「コーラ・・。リ・・・リスは?」
コーラは見たままの話をした。
「そう、私はあの落雷の瞬間、もう駄目だって思ったの。・・・気がついたらここだった。ありがとう、コーラ。助けてくれて」
コーラは黙って首を振る。
「リリスは、本当にもう来ないわよね?」
チェリーがそう言うと、部屋のドアが開いた。
「大丈夫。そんな力はもうないわ。ルシファーの妻として、魔女裁判長としての地位は変わらないけれど、あの戦いで魔力のほとんどが失われた。人間界で戦える力はないわ。チェリー、あなたの勝ちよ」
トンニャンがドアに手をかけたままで立っている。チェリーはうっすらと笑みを浮かべた。それから、ふと頭を上げるとトンニャンの方を向いた。
「トンニャン・・・、あのフェニックスは、あなただったの?」
コーラもトンニャンに顔を向けた。
「そうだわ、忘れてた。私をその足の爪で持ち上げた鳥、鳳凰?不死鳥?だったのね、トンニャン」
トンニャンは唇を曲げて微笑んだ。
「さあ、どうかしら。そんな事どうだっていいじゃない。
コーラはこれでひと安心。ミセス・ガンの子供も狙われる心配もなくなった。お腹の子は無事。
魔界が沈静化に向かえば、いずれコーラを、ルシファーが迎えに来るのも時間の問題。
チェリーはリリスに勝った。近いうちにケルビム(智天使)に昇進するでしょ」
「チェリー、おめでとう!ガブリエル様がよくやったって、ほめてらしたよ」
そこに突然現れたのは、チェリーの婚約者、クビドだ。
クビドはトンニャンとコーラが目の前にいるにもかかわらず、チェリーの唇にキスした。
「クビド・・・!いやな人。友達の前でしょ。挨拶して」
初めてまわりを見回すように、トンニャンとコーラを見るクビド。
「愛の天使・クビド。チェリーの婚約者ね。私は、トンニャン。あなたのおとうさまのミカエルとは・・・」
「あ・・・知ってます。古い友人とか・・・。失礼しました。クビドです」
「私はコーラ。その・・・」
「コーラ、きみの事も知ってる。ルシファーとの事も・・・」
トンニャンは、コーラの肩に手を置いた。
「クビド、知ってるかもしれないけれど、私はルシファーとも古い友人よ。彼らが善と悪の命運をかけて戦った時からね」
クビドは少し眉にしわを寄せたが、思いついたようにチェリーを振り返った。
「チェリー、迎えに来たんだ。天上界に帰ろう」
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#61 フェニックス(原題「フェニックス」)
※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。
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次回トンニャン過去編#62 フェニックスへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n582b393db727
前回トンニャン過去編#60ミセス・ボニー・ガンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n7fb248520fdd
■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d
※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024