ある独白#13
男は言葉を切って、竜次の様子をうかがうように見た。
竜次はじっとしていて男を見ていないようだ。
「怒っているのか?
確かに俺はバカだったと思う。
竜次にだまされたと思って、やけになったりした。
だから、今まで連絡とる気持ちになれなかったんだ。
でも、気づいたんだよ。
お前がロボットでも、俺の友達には変わりがないんだって。
すぐ、葛城博士に問い合わせたんだ。
けど・・・おまえは使役ロボットに戻ったから、
行先は教えられないって。
・・・・探したんだぜ。いったい、今までどうしてたんだ?」
耀子が飲み物を買って戻ってきた。
「どうしたの?竜次」
それから男を見て、
「うちの竜次が何か、失礼なことをしましたか?」
と聞いた。
男の唇がわなわなとふるえ出した。
「あなたが、竜次のご主人?」
耀子は竜次をにらんだ。
「ダメじゃない、竜次。今日は弟って言ったでしょ」
竜次は顔をあげて耀子を見た。
何かコンピューターに異常がおきているのか、表情がない。
「弟?その日によって いいように使われてるのか?」
耀子はカチンときた。
「あなた誰?うちの竜次が何かしたのか、さっきから聞いているでしょう?」
男はいまいましげに耀子を見つめた。
「高橋健吾。竜次の大学時代の同級生です。
大学の時、何度竜次に助けられたか。
俺がこうして大学卒業できて、こうして社会人としていられるのも
竜次のおかげなんだ。
あんなに優秀で誰にでも優しく、信頼されていたやつを俺は知らない。
それなのに、今は使役ロボットだなんて・・・」
耀子は少し戸惑ったが、相手が名乗った以上自分も名乗るべきだと思った。
「私は葛城耀子。竜次を作ったのは父なの。
父が使役ロボットとして、竜次を送りこんできたの。
今日は・・・あなたの言うとおり、弟として遊びに来てたのよ」
それから間をおいて続けた。
「ごめんなさい。たぶん、竜次は混乱しているんだと思う。
後で調べてみるけど・・・・」
突然、健吾が叫んだ。
「やめてくれ!調べるなんて。竜次は人間だったんだ。
そうだろ、な、竜次!!」
ありがとうございました"(-""-)"
ある独白#13我が永遠の鉄腕アトムに捧ぐ
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弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
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#14へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/na9f7c0faac5f
#1最初からは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nb5ab031cb177