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パズル④新しい命
「りんご売りって、私より少し小さい子供がいたよね?」
寝耳に水の話に 美咲は戸惑いをかくせない。
寅吉は リンゴ売りの女の話を聞き
自分が残してきたものの 重さに気づいた。
そして 寺の 和尚様に相談したのだ。
家族の誰にも言わず、 いや言えなかった。
それは 寅吉の精一杯の 懺悔だったかもしれない。
寅吉が亡くなった後、和尚様が 息子の次郎に
本当の話をしたのだ。
次郎は 妻・智恵に、もし リンゴ売りの女が来たら
できるだけ親切にするよう 頼んだ。
智恵も できることはした。
不思議だった。親戚でもないのに。
美咲は幼い頃 いつも思っていた。
何故 リンゴ売りの人は うちに子供を預けて
リンゴを売りに行くのだろう
その女の子は 今思えば 寅吉の ひ孫
そして リンゴ売りは 美咲のいとこ に あたる。
しかし・・・
祖父・寅吉が美咲が四歳の時に亡くなり
父・次郎が 美咲が十歳の時転勤になり
そのまま 連絡を取ることもなく
リンゴ売りの女とは 疎遠になった。
後年 次郎と智恵が、 美咲の生まれた土地に
家を建てて帰ってきたのは、すでに二十年を有していた。
その頃 美咲は二人目を妊娠中で、
新しい家(実家)の落成は
美咲が出産する一ヶ月前だった。
新しい実家の家で、美咲は二人目の
男の子を出産した
パズル④
2008年作品(まだ水月あす薫が、生まれない頃)
パズル⑤に続く
最新作「駒草ーコマクサー」
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね
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