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アスタロト公爵#6悪魔の君主アスタロト公爵

※この物語は 「阿修羅王」本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。

アスタロトは、ベッドの上で肩で息をしている自分に気が付いた。
隣にはフェアリーが、同様に息が止まりそうなほど苦しそうに喘いでいる。
「しまった!」
跳ね起きてベッドの傍に置いてあるクリスタルを覗くと、トンニャンとアシュラが互いに口もきかず、だまって座っている姿が見えた。
やられた。このアスタロト公爵が、まんまと術中にはまるとは。


【悪魔の君主 アスタロト公爵】
ルーツは古代フェニキアの女神アスタロテといわれる。
天に輝く月に象徴されるアスタロテは、エジプトではアシュタロスと呼ばれ、バアル(ベールゼブブ)の妻であった。
後に夫と供に堕天使となった時から、男性に変えられ、ドラゴンにまたがる黒衣の美しい悪魔となる。
そしてその瞬間より夫ベールゼブブと決別し、魔界の三大実力者ルキフェル・アスタロト・ベールゼブブの一人として、常に権力争いの場に登場してゆく。


あの時・・・。
アスタロトは、トンニャンとアシュラの監禁に成功し、円いクリスタルからトンニャン達の部屋を監視していた。
アスタロトの機密情報機関によれば、異次元に、何の目的で作られたか球体が出現し、その中からトンニャンと大天使ミカエルが、時を置いて出てきたそうだ。

トンニャンとミカエルが何の目的もなく会うはずが無い。
アスタロトの興味は、その話の内容だった。
そして、トンニャンは必ずアシュラにその話をするはずだった。

「あんなものを見せられるとはな。」
アスタロトは、思い出しただけでも、またフェアリーに手を伸ばしたくなる衝動を抑えていた。
あの時、トンニャンが突然美しい黒髪の少女に変化すると、アシュラの目の色が変わった。
そのまま少女をベッドに押し倒すと陶酔の世界に入っていった。

最初はあきれたように見ていたアスタロトの瞳が、何か報告に来たフェアリーをとらえると、話も聞かずにそのか細い手を引いた。
それからは、自分も同様の世界に入ってしまったらしい。

おそらく、一番大切な話は聞き逃している。
「全く、何を考えているんだ、あの二人は。人の城の中で」
アスタロトは、自分で監禁しておきながら毒づいた。

「ア・・・アスタロト様。報告が・・・」
フェアリーはまだ肩で息をしながら、仰向けになったまま自分の役目を遂行しようとしている。
「一人、天使を捕らえました。
いつもの縄で縛ったまま、地下牢に入れてあります。」
「天使だと?この魔界で?」
「は・・・はい。明らかに翼を持っています。そ・・・それから・・」

「まだ何かあるのか?」
「先ほど、アシュラが雷を起こしシールドに傷をつけましたので、今から、修理に向かわなければ・・・」
アスタロトは息も絶え絶えのフェアリーの銀色の髪を軽くなでつけながら、何度か頷いた。
「わかった。修理は他の者にやらせよう。
わたしは、その天使が見たくなった。
おまえが落ち着いたら、案内しておくれ。」

フェアリーが立てるようになるまで、案外時間がかかった。アスタロトは、乱暴に扱いすぎたかと少し反省した。
悪魔や天使や、いや人間より、フェアリーは弱い者なのだと実感した。アスタロトが女を気づかったのは、初めてかもしれなかった。

ありがとうございましたm(__)m

アスタロト公爵#6 悪魔の君主アスタロト公爵


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