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トンニャン過去編#82 ニコラス・ボニファキウス(原題「ファイヤーバード」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ピエールの巻」の次。「ニコラスの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「コーラ、彼の正体がわかったの?」
コーラはチェリーとトンニャンに同時に言われてうつむく。
「・・・ニコラスはとりつかれているわ。それもルシファー様の王子様の一人に。名前までは、わからなかった・・・」
「魔女のコーラが、そこまでわかれば上出来よ」
トンニャンを横目で見ながら、チェリーはまた、コーラにきつい眼を向ける。そして、ヘスターから聞いた事、そして一連の出来事を話した。

「コーラ、ニコラスを助けないと。このままでは身体が持たない。命にもかかわるわ」
「えぇ、わかってる。何とか身体から追い出さないと・・・。」
しかし、コーラもどうしてよいか、わからない。
 
コーラは、チェリーとトンニャンに止められて、命を差し出すのを一時休止した。
 
 
何の手立てもないまま時が過ぎたが、あれからニコラスは何も言ってこなかった。しかし、しばらくしてコーラはヘスターから問い詰められた。ニコラスが、コーラと恋人同士になったとうそぶいているのだという。
「ニコを返して・・・私のニコを・・・」
泣きながらヘスターがにじり寄る。コーラは、もう一刻の猶予も無いと感じた。それは確実な死の予感でもあった。
 
 
コーラはニコラスを校舎裏に呼び出した。
「コーラ、そっちから呼び出すなんて、どういう風の吹き回し?」
コーラはそれに答えず、必要な事だけ口にした。
「お願いです。あなたがルシファー様の王子様のひとりだという事はわかりました。私への憎しみも承知しています。でも、ニコラスには関係無い事。彼を自由にしてやって下さい。そのかわり、何でも差し上げます」
ニコラスはニヤリと笑った。

「僕が欲しいのは、コーラ・・・きみの命だ」
「どうぞ」
「いいの?もらっても。」
コーラは深くうなずく。それには覚悟の色が見えた。
「わかった。ニコラスから出よう」
彼がそう言うと、ニコラスの身体がグラリと揺れて、地面に倒れた。
 
「リ・・・リオール様?!」
そこに立っていたのはルシファーとリリスの第一王子、悪魔皇太子リオール。
魔界でルシファーに次ぐ力を持ち、いずれルシファーの跡を継いで、魔界の王となる事が約束されている。まさか、そのリオールが直々にやって来るとは・・・。
コーラは、自分がいかに憎まれているかを思い知った。憎まれても仕方のない事をしたのだ。そして本当に覚悟を決めた。
 
「さあ約束だ。俺に命をくれるね?」
コーラは目をつぶった。
さようなら、ルシファー様。トンニャン、チェリー・・・トム、トーニ・・・。
 
突然、コーラは唇を重ねられてのけぞった。
「リオール様?」
「今、言ったじゃないか。俺に命をくれるって。コーラはもう、俺だけのものだ」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#82 ニコラス・ボニファキウス(原題「ファイヤーバード」)

※このシーンは、正直ちょっと恥ずかしい。「うふっ💛」と笑ってしまう。
20年以上の時を経て2006年頃に描いた「トンニャンシリーズ」。悪魔皇太子リオールこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n47d3171cbb70?magazine_key=mf04f309d9dfc

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
※Amazon、書籍は入荷したようです。他の通販も、書店も、または電子書籍あります※

次回トンニャン過去編#83 ニコラス・ボニファキウス へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/nfb5ce44cbdd6

前回トンニャン過去編#81 ニコラス・ボニファキウスはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n551f0ed9ff52

■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024

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