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元祖 巴の龍#38
「桐紗が。新城で私が捕らえられる時にかばって・・・。そんな・・・!」
桔梗は言葉に詰まったが、菊之介は会えた喜びで、桔梗の表情の変化に気づくことはなかった。
菊之介は石牢の格子から手を伸ばし、桔梗の手を取ると握り締めた。
「母上、ここにいるのは大悟と名を変えた梗丸(きょうまる)兄上です」
大悟はおずおずと桔梗の前に進み出た。桔梗は驚いて一瞬自分の耳を疑った。しかし、すぐに震える手を格子から思い切り伸ばし、大悟の顔を両手ではさんだ。
「きょ・・・梗丸。生きて・・・いたのですね。・・・こんなに大きくなって。父の丈之介にそっくり」
「母上、今は逸れてしまったのですが、父上も生きておられます」
桔梗は驚いて、再び菊之介の顔を見た。
「丈之介が生きていると。ほんとうに」
「えぇ、ほんとうです。しかし、積もる話はいずれ。とにかくお助けします」
菊之介が牢の錠前に手をかけると、突然闇夜に稲妻が光り、その稲妻を背負って真白き龍が現れた。それは新城での黒龍と、姿といい大きさといい酷似していた。
「黒龍に似ておるので驚いておるのか。わしは黒龍とは双子の白龍だ。だがわしは、そうやすやすとはいかぬぞ」
稲妻の中、白龍が咆哮しながら襲ってくる。そして稲妻も確実に菊之介達を狙ってきていた。
菊之介と大悟は、桔梗をかばうように桔梗の牢獄を動かなかった。それをいいことに、白龍は容赦なく稲妻を落としてきた。
「南無さん!」
大悟が弓をつがえてギリリと引き、思い切り放った。
矢は弧を描いて白龍の右目に確実に突き刺さり・・・いや、一瞬早く白龍が身を翻した。矢は白龍の鱗をかすって落ちた。菊之介はすかさず太刀を構えて斬りつけた。
「わしの鱗は太刀をも通さず」
白龍は身を動かさず、菊之介の刃を受けた。菊之介は直前で太刀の構えを変え、白龍の左目に力をこめて刺した。
太刀が突き刺さったままの白龍は、身を躍らせて上昇した。その時やにわに吹雪が起こり、白龍を取り囲み全身を凍らせた。
大悟は二本目の矢をつがえ、白龍の心の臓めがけて解き放った。矢は一直線に白龍に突き刺さり、頃着いた全身を粉々に砕いた。
カラン!
と菊之介の太刀が落ちてきた時は、稲妻も遠ざかり白龍の姿もなかった。
続く
ありがとうございましたm(__)m
※かえすがえすも、20年前の作品とはいえ、敵、弱すぎ(汗💦※
「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
次回 元祖 巴の龍#39はこちらから
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前回 元祖 巴の龍#37はこちらから
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