トンニャン過去編#73 アリス・ジョージャス(原題「ファイヤーバード」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ファイヤーバードの巻」の次。「アリスの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
コーラがまずアンの身体にふれようとした時だ。
「ふれるな!」
と、ドス黒い声が響いた。コーラはかまわずアンを抱き起こした。そして「チェリー!」と心の中で叫んだ。
チェリーはすぐさまコーラの目の前に現れた。その姿は、天上界にいる時の、翼のあるケルビム(智天使)であった。
「お願いよ」
コーラがそう言うと、チェリーはアンやアリスの両親ら七人を、その翼で包み込むようにして消えた。
チェリーが七人を連れてアリスの家の前に戻ると、トンニャンが待っていた。
「チェリー、これから起こる事から、この人間達を守れるのは天使であるチェリーだけ。魔性のものはチェリーには近づけない。この七人と、トーニ達三人を、きっと守ってね」
トンニャンはそう言い残し、その姿を消した。
「コーラ、トンニャン。アリスを頼むわ」
******
「正体を現したわね。」
コーラの眼に、アリスの身体から半分顔を出した魔性のものが映っている。
「よくも獲物を・・・。おまえを生かしちゃおけない」
魔性のものは鋭い爪のある毛むくじゃらな手をコーラの方に伸ばしてきた。コーラが飛びのいた。魔性のものは、そんなコーラを笑った。
コーラには、自分が魔性のものより劣っている事がわかっていた。勝てるわけがない。
しかしアリスは大切な友達の一人だ。しかも魔性のものは、アリスのみならず、この家全体を、いやトムやアン達まで自分のものにしようとしたのだ。許せない。怒りがコーラの心を強くした。
しかし、幾度となく繰り返される攻撃に、コーラはしだいに追い詰められていった。窓にへばりつき、後ろ向きのまま窓を開ける。いつしか日は暮れていた。珍しく、月のない晩だ。
「もう、終わりだな」
魔性のものの声が不気味に響いた。
その時コーラは、窓の外からバサッバサッと大きな翼の音を聞いた。次の瞬間、コーラは思い切り叫んでいた。
「ブラックエンジェル!」
魔性のものはビクンとして手をひいた。
「な・・・知っているのか?」
まもなく大きな鳥に乗ったブラックエンジェルが現れた。
「久しぶりだねぇ、コーラ」
ブラックエンジェルが窓から顔を出すと、魔性のものがガタガタ震えだした。ブラックエンジェルは夜の女王、夜の支配者だ。
動けなくなっている魔性のものを横目で見ながら、コーラは事の次第をブラックエンジェルに説明した。
「そう」
ブラックエンジェルは魔性のものを一瞥した。
「おまえ、まさか私に逆らおうってんじゃないよね?」
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#73 アリス・ジョージャス(原題「ファイヤーバード」)
※ブラックエンジェル、一番いいところに現れる、漫画みたいですね。あぁ、そうだ。私、漫画家になりたかったんだった・・・。小学校ですぐに挫折しましたが・・・。
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次回トンニャン過去編#74 アリス・ジョージャスへ続く
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