
元祖 巴の龍#79(相関図付)
「母上、丈丸でございます。、今は名を変えて涼原兵衛、伯父洸綱の娘・葵を娶り、涼原を継ぎました」
初めて桔梗にあった兵衛は、早口で名乗りを上げた。桔梗の目からほろほろと涙がこぼれた。
「母上、大悟です。安寧(あんねい)でお会いした大悟です。父・丈之介も健在でございます」
大悟も名乗ると
「菊之介です。桐紗義姉上に助けられてここまで来ました。今、お救いいたします」
桔梗は三人の息子たちを交互に見ていたが、やがてその後ろの桐紗に目を止めた。
「桐紗、何故・・・。新城で私が捕らえられた時、私をかばって斬られたはず…。死んだと聞いていたのに、生きていたのですか」
菊之介らは驚愕して桐紗を振り返った。すると三つ口定継が大声で笑いだした。
「おお、死んだとも。わしの娘・桐紗は死んだ。
死んだ魂を呼び戻し、妖怪に生まれ変わらせたのは、このわしじゃ。
ここにいる桐紗は魂は同じでも、肉体は化け物じゃ」
桐紗は身を硬くして動こうとしない。
「再び命を与えてやったものを、菊之介なぞに惚れおって、妖怪の身で人と添えるわけがない。
どうじゃ、菊之介は落とせたのか。人間の時より色香で惑わす術には長けただろうが」
菊之介は驚いて桐紗を見つめている。兄二人は言葉がでない。
桐紗の頬をはらはらと涙がつたった。
「菊之介、父上の言う通りです。あなたと新城で再会した時、すでに私はこの世の者ではありませんでした。
たとえこの身が妖怪と化しても、あなたのそばにいたかった。
あなたと一緒になりたかった。
いつかこうしてこの事がわかる時が来るのも、覚悟しておりました。その瞬間まで、あなたと供に…」
「ふははは…。巴の龍め、桐紗ともども、地獄に落ちるがよい」
定継は桔梗を抱えていない方の右手を拡げて、回すように振ると、その手から火の玉が次々と飛び出してきた。それは桐紗の妖術と同じものだった。
兵衛も大悟も、躱しながら少しづつ定継に近づこうとしていたが、菊之介は桐紗の真実が堪えて、動くことが出来ない。
火の玉が菊之介に向かっていった。
続く
ありがとうございましたm(__)m
※相関図、写真が下手で、曲がってて、すみません。2001年作成。

「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
次回 元祖 巴の龍#80はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nbf8ef1df9e3a
前回 元祖 巴の龍#78はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nc7c195d7ac50
元祖 巴の龍 を最初から、まとめて読めるマガジンは、こちらからhttps://note.com/mizukiasuka/m/m19d725f12ae1
「巴の龍」(「元祖 巴の龍」の後に書きなおしたもの、一話のみ)はマガジンこちらから
※私事多忙のため、毎日投稿できないので、まとめて五話づつ、投稿しています。
お時間あるとき、一話ずつ読んでいただけると、嬉しいです(≧▽≦)
いつも、ありがとうございますm(__)m
いいなと思ったら応援しよう!
