トンニャン過去編#23 ネッド・グラウンド(原題「天使チェリー」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
「その人は遠くにいるみたいだったの。でも、最近会えた・・・みたいなの」
「みたい?」
「よくわからないのよ。でもアンとネッドは今、口もきかないのよ。
それにネッドが、同じクラスのルーシー・エイビスと付き合ってる・・・みたいなの」
「みたい?」
「だから、わからないのよ。アンとは三年も前から友達で親友だと思ってたの。
でも、アンには不思議な力があって、見えないものが見えるの」
「見えないもの・・・」
チェリーが少し声を落とした。
「見えたものは、全部話してくれるわけじゃなくて。たぶん、私には理解できないものもあるんだと思う。ただね・・・」
トーニは何と言っていいか考えあぐねているのか、言葉が見つからないのか、渋い顔でぐずぐずしている。
「その、アンの好きな人が、たぶん現れたのよ。だからネッドは、そんなアンを見たくなくて、離れていったんじゃないかと」
「それで、ルーシー・エイビスと付き合ってる?」
「トムがそうじゃないかって。
私とアンが友達で、私とトムが付き合ってるから、ネッドはトムも避けてるみたいで。トムとネッドもすごく仲良かったのよ」
「・・・ネッドは、ルーシーが好きで付き合ってるんじゃないのね?」
トーニが渋い顔のままコクリとうなずいた。
「そんなに気になるの?そのルーシー・エイビスが」
チェリーは自分のマンションのリビングで、コーラと二人で、コーヒーを飲んでいる。
「チェリー、シュガー入れすぎじゃない?ミルクだって入ってるのよ」
コーラが、チェリーとは別に入れたアメリカンコーヒーに、ほんの少し黒いコーヒーシュガーを入れた。
「コーラこそ、そんな薄いコーヒーのどこが好きなの?」
「チェリーのコーヒーは、どんなに濃くても、ミルクシュガーだわ。コーヒーの意味なし」
「私にもコーヒー入れてよ。チェリーの飲んでるの、まだあるでしょ。ブラックでいいから」
チェリーとコーラはその声の主を見て、唖然とした。
「チェリー、聞こえなかった?」
チェリーは黙ってコーヒーを入れると、テーブルに置いた。
「・・・どうして、ここにいるの?」
コーラがやっと口を開く。
「二人とも、天使と悪魔のくせに、驚きすぎ」
「どうやって入って来たの?窓は開いてなかったわ、トンニャン」
トンニャンはブラックコーヒーを飲みながら、すでにソファーでくつろいでいる。
「チェリー、コーラが来た時言われたわよね?先に聞くのは、『5階のベランダにどうやって来たのか?』って」
チェリーはコーラの顔をチラリと見た。コーラは首をすくめる。
「先に聞くのは、『ドアは開いてなかったけど?』じゃないの?」
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#23 ネッド・グラウンド(原題「天使チェリー」)
※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。
今回は1970年代に描いた、トンニャン過去編「チェリー・エンジェル」の続きです。
トンニャン過去編#24ネッドグラウンドへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n0d0b8c46c59c
トンニャン過去編#22 ネッドグラウンドこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n1a757ee2d9f6
トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d