エンドレスヒール#42 -3.11
3月8日(火)職場にて
この仕事も、今月いっぱい。
そう思うと、本当は辞めたくない、という気持ちが強くなる。
この仕事に就くために努力した日々が無駄になるからではない。
私のような年齢の者を雇ってくれた施設、受け入れてくれた施設長や職員さん。
そして、何より利用者さん。
今まで、仕事をしていて心から自分が癒され、楽しめた仕事があったろうか。
失敗ばかりの和美を支えてれた職員の皆様。
和美のような未熟者を受け入れてくれた利用者さん達。
感謝してもしきれない。
デイケアは、毎日必ず同じ人が来るわけではない。
その人によってプランが違うため、一人一人、曜日や契約内容が違う。
一概に介護保険と言うが、障害の度合いや種類によって細かく分かれてくる。
今日は、昨日とは違う車いすの方、セイヤさんが来ている。
無口な方だが、あまり自分から話ができなくなっているのかもしれない。
痰がからんで咳をしていたので、背中に手をあてると、びりびりしびれてきた。
体や心のつらいことが、和美の手に伝わってきているのだ。
その しびれ は、重度の障害ゆえか。自分が伝えたいことが うまく伝わらない、もどかしさからか。
その苦しみ、取ってあげたい。
まだ、そんなに力があるわけじゃない。
自然に伝わって行くノアヒールは、ヒーリングしようとしてしているのではない。
ただ、ふれると そのエネルギーが流れてゆくのだ。
そして、相手に何かあれば、ふれている手にしびれや痛みを感じることがある。
本来、相手からのものを自分に取りこむと疲れたり、その流れてきたものによっては、自分が体調をくずす場合もある。
本当は、相手の良くないものは止めて、良いものだけ流してやれば良いのだが、まだ成長途中で、そのコントロールがうまくいかない。
和美は、セイヤさんの痛みを手に感じながら、背中に手をあてた途端に咳が止まった。
しかし医療行為では無いため、そして和美が未熟なために、手を離すと咳が出る。
和美は、しばらくセイヤさんの背中に手をあてたままにしていた。
セイヤさんの苦しみを、びりびりと強いしびれと痛みを手のひらに感じながら。
続く
2011年4月27日(水)
エンドレスヒール#42 -3.11
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね
次回 エンドレスヒール#43 へ続く
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前回 エンドレスヒール#41 は こちらから
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