そんなに来てるの?こんなのが
桃子がいつものスポーツクラブに行こうと、スポーツバッグを持つと、固定電話が鳴った。
「はい」
「東地区年金事務所ですが、こちらからの手紙、届いてますか?」
・・・・何の手紙?たまに来るけど・・・?
「はい。届いています」
「・・・届いていますか。わたくし、東地区年金事務所のナガハラと申しますが、カザミ モモコ様ですか?」
「はい」
「お手紙の返信がないので、連絡しました。返信が無いと・・・」
「何の返信ですか?」
「今。説明しますから。インボイス制度の導入に伴い、消費税の関係で計算しなおすと、二万円ほど返金がありまして・・・」
「ちょっと、書類、調べてみます」
・・・忙しんだけどな。たまの休みなんだから。
あ、そうだ。トイレ行きたかったんだ。行こう。
・・・・・・・・・・・・
年金の書類、どこだったかな
”都合、10分以上、待たせる”
あった。
あぁん?? 返信用封筒も、ハガキも無いぞ
今年来たのは、この四通?(たぶん?)だよな
「すみません。手紙、来てないです。返信用の封筒やハガキが入ってるのも無いです」
「返信が無いと二万円が・・・」
「必要書類なら、もう一度、送ってください。来てないので・・・」
ブツリ!
切れた。
電話は固定電話だった。気持ち悪い。
携帯から、東地区年金事務所に電話してみよう。
桃子は携帯電話から東地区年金事務所に電話し、長いガイダンスを待たされて、女性と、やっとつながった。
「カザミと申しますが実は・・・」
詳細を話す。
「ナガハラさんという男性で・・・」
「ナガハラという職員はおりません。また、わたくしどもから、入金に関して、お電話することはありません」
やっぱり。
「このようなお問い合わせが多いのですが、何か年金番号などの、個人情報は話しましたか」
「いいえ、名前をフルネームで言われたので『はい』とは言いましたが、ほかには何も言ってないです」
「であれば、情報漏洩の心配はないと思います。ご心配おかけしました」
桃子は、担当の女性の名前を聞いてから、謝辞を伝え、携帯電話を切った。
あぁ、時間もったいなかった。誰かに話したい。
桃子がスポーツクラブで、しゃべりまくったのは言うまでもない。
おわり
事実を基にして書きました。
お若い方には、このようなことはないかと思いますが、世の中、すさんでおりますね。