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トンニャン過去編#70 ファイヤーバード(原題「ファイヤーバード」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「フェニックスの巻」の次。「ファイヤーバードの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです

翌日からアリスは学校を休んだ。
「トンニャン、アリスはどうしたのかしら?」
トーニ・バロンが心配そうにトンニャンに聞く。
窓から外を眺めていたトンニャンが、ふと微笑む。
「雪・・・」
突然トンニャンがつぶやいた。外は雪がチラつき始めていた。トーニはふるっと身震いをした。
「窓、閉めてもいい?」
トンニャンが軽くうなずいたので、トーニは窓を閉めた。それから、小さく口を開いた。

「チェリーやコーラは元気?」
「えぇ。コーラとは、以前からの知り合いでしょ」
トーニはニッコリと笑った。
「そう、初めて会ったのはもう四年も前ね。不思議な少女だったわ。どこからともなく現れて、どこからともなく去って行ってしまったの。
でも、私はコーラが大好きだったわ。もちろん、今もよ」
「コーラも、トーニが好きよ。あなた達は仲が良いわね」
トーニはそう言われてから、少しうつむいた。
「でも、私、コーラがアリスと付き合ってた事、あまりいいとは思っていなかったの。確かにアリスはハッキリしていて、行動力もあるし、頭もいいわ。
でも・・・思い上がっているような所が目に付いて・・・。本当は、いつもコーラとアリスが一緒にいるのが、心配だった」
 
***
 
アンとエレンも、アリスの話をしている。
「気にする事ないわ。アリスはエレンに言われて休んだわけじゃないし」
「でも、あの後すぐ倒れちゃって、びっくりしちゃった」
エレンは昨日の話をしている。
「トンニャンがいて良かったわね。頼りになるもの」
アンの言葉にエレンもうなずく。
「アリスのお見舞いに行った方がいいかしら?」
エレンが不安そうにアンを見る。アンは何か胸騒ぎを覚えた。いつものアンなら、行かなかったかもしれない。だが、あまりにエレンが気にしているようなので、ついエレンに同情してしまった。
「・・・わかったわ。私も一緒に行くわ。そして、私の口からもハッキリ言うわ。トンニャンに付きまとわないでって」
 
 
その日学校が終わると、チェリーはルーシーとスクールバスに乗った。同じバスにアンとエレンも乗っていた。
「あら?アンは、同じ方向だったかしら?」
ルーシーがつぶやいた。
 
**
 
「ネッド、どうしたの?帰らないの?」
コーラが教室をのぞくと、ネッドがひとりポツンと座っていた。
「コーラか。いや、別に・・・。」
ネッドの顔には拭いきれない影が浮かんでいた。
 
 
*******
アンとエレンは、アリスの家の前に来ていた。成り行き上チェリーとルーシーも同じバス停で降りて、少し遅れて二人について来ていた。
「アリス・・・」
チェリーはトンニャンが言っていた事を思い出していた。
二〇〇七年平成十九年八月二十六日(日)朝七時(原文一九七七年六月)

ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#70 ファイヤーバード(原題「ファイヤーバード」)

※チェリー・コーラ・トンニャンの、日本でいう高校三年生が始まりました。今回は、初めから波乱の様相です。アリスをめぐる友人たちは、なにやら巻き込まれていくようです・・・。

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次回トンニャン過去編#71 アリス・ジョージャスへ続く
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