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カオル #10
「っや・・・そうじゃなくて、つまり・・・。」
「晃二、困ってたろ。
だから、金髪ちゃんが二度と家に来ないようにしただけさ。」
え?それって俺のため?
「じゃあ、その気はないわけ?」
「あたりまえだろう。今日会ったばかりの子を、
ハイそうですかって、なんで抱けるんだよ。
それに、このあたり以外でよほどのことがない限り、
偶然会うなんてこと、あるわけないじゃないか。」
あぁ、そうか。
晃二はうなずきながら、はたとカオルを見ると、
カオルはもう二階の自分の部屋にもどろうとしていた。
「カオル、さ・・・。」
さっきのこと、と言おうとして晃二は口ごもった。
先の言葉が見つからない。
カオルが振り返って晃二を見た。
晃二はなんでもない、というふうに首を振った。
カオルは また階段を上りはじめた。
晃二は、このカオルの女装がこれっきりになるのを、
ちょっと惜しい気持ちで見つめていた。
「晃二、ひっさしぶり~~。」
晃二が次に柚季に会ったのは、
それから一週間ほど後のこと、柚季が珍しく学校に来た日だった。
「また、呼び捨てかよ。」
「いいじゃん、友達でしょ。
私のことも『ゆき』でいいよ。」
晃二はため息をついた。
何をやっているのか、めったに学校に来ない柚季。
たいしたつきあいもなく、話もまともにした覚えがない柚季と
何故かしら かかわりを持つことになってしまったことが、
晃二にはまだよく理解できていない。
「この間は、急にごめんね。
でも、晃二覚えていないだろうけど、
初めて話したの、入学式なんだよ。」
ありがとうございました(;´д`)
カオル#11へ続く
カオル#10
最新作「駒草ーコマクサー」
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね
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