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カオル #11
入学式・・・なんのことだろう。
「たまたま となりになってさ、
ちょっと 話したじゃない。」
「となり、金髪の子じゃなかったぞ。」
うん、と柚季がうなずいた。
あれ・・・もしかして、染める前なのか。
「その時、晃二となんとなく話がはずんでさ、
晃二『今度遊びに来れば?』って言ったじゃない。」
そういえば、そんなことあったかも・・・。
「それから自己紹介の時、中学が一緒の子が少ないから
早く名前で呼び合える友達がほしいって、言ってたよね。」
たぶん・・・言った。
「それを覚えてたのか。
でも、あれからあんまり学校来てないよな。」
柚季が急に黙りこんだ。
晃二はちょっと悪いことを言ってしまったような気がした。
柚季はしばらく黙っていたが、
意を決したように顔をあげた。
「晃二には感謝してる。カオルさんと逢わせてくれたし。
それに、もう友達だと思うから 本当のこと、言うね。」
カオルとは逢わせたわけじゃないけど・・・。
「母親が入学式の後 男 連れて来て、
急に結婚するって言うんだ。
私も もう高校生だから わかってくれるだろうって。
あ、本当の父親とは小さい時に別れて、
どういう理由だか知らないけど、一度も会ったことないの。
でも、いつか会えるって信じてた。」
柚季は言葉を切って、ちょっとつらそうにした。
晃二は父親のいない柚季に、
少し親近感を覚えている自分に気がついた。
「私の父親は別れたおとうさん一人だけだもの。
今は会えなくても、きっと会える時が来ると思うの。
だから・・・あんな男、認めたくない!」
柚季が唇をかんだ。
晃二には柚季の言っていることが、なんとなくわかった。
母親には母親の人生がある。そんなこと百も承知だ。
だが、それでもなおかつ、新しい父親を受け入れることができない。
子供だと言われても 嫌なものは嫌なのだ。
ありがとうございました(。-`ω-)
カオル #12へ続く
カオル #11
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