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元祖 巴の龍#67
「私は三つ口定継の娘、桐紗と申します。この菊之介が菊葉と呼ばれていた頃、十三年に渡って、姉妹として育ちました。
桔梗様にも真の娘のように育てていただきました。ですからどうか、義母上と呼ぶことをお許しください。
父・定継が皆様の敵であることは承知しております。
義母上を人質にとって、様々な国を脅かす父を、もう父とは思いません。
私も義母上を救うため、手助けをさせて下さい」
桐紗がそこまで言うと、丈之介は桐紗の手を取った。
「桐紗とやら、そんなにかしこまることはない。聞けば桔梗が捕らえられる時も、定継に進言してくれたそうではないか。
桔梗にとって娘なら、わしにとっても娘だ。遠慮はいらぬ。自分の家なのだから」
桐紗は思わず涙ぐんだ。
「父上、ありがとうございます」
菊之介も頭を下げた。丈之介は微笑んで二人を見た。
「丈おじの、あの優しさに桔梗様は惚れたのではないか」
芹乃はその様子を微笑みながらみつめた。
「うん、まあ俺の親父だからな」
「大悟、丈おじに似てるとは限らんぞ。大悟には洸綱様の血も流れているからな」
「おい、あの伯父御といっしょにするな」
大悟は本気で不快に思った。
「はは・・・単純だな、大悟は」
「な・・・なんだよ」
大悟が軽く手をあげると、芹乃はすっと逃げた。
「何、じゃれあってるんですか」
菊之介がふいに顔を出した。
「じゃれあってなどおらん。あ、桐紗殿は?」
大悟が慌てて、手をひっこめた。
「父上と話しています。こうしていると、ほんとうの親子みたいですね」
芹乃も、後ろから覗き込んでふっと笑った。
しばらくして芹乃の打ち直した、桔梗の太刀が完成し、そのお披露目が洸綱の家で行われた。
桐紗は、洸綱に遠慮して丈之介の家に残ることにした。
芹乃も本心を言えば兵衛を冷静に見る自信はなかった。まして、妻・葵も同席する。
しかし、自分が打った刀であれば、行かないわけにはいかなかった。
続く
ありがとうございましたm(__)m
「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
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