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かげろう奇譚#6(石ノ森章太郎萬画館)

小学校三年の終わりだったと思う。

ある夜、和美は夢を見た。

夢の中で和美は、行ったこともない石森章太郎邸へ行って、彼に対して怒っている夢だった。

(初期『石森』と称していたが、後年 出身地である登米郡中田町石森の本来の読み方である『石ノ森』と改名した)

石森章太郎は、彼が漫画の中でよく描く、丸顔にベレー帽の二頭身、

漫画の中そのままの姿だった。

デスクに向かって原稿を描く彼の頭を、上からポンポン叩き、

「私のアイディアを盗んだ!」と 和美は言うのだ。

そのアイディアとは 当時 和美が描いていた漫画で、

「双子の少女が、一人は忍者、一人はお城のお姫様として育てられ、数奇な運命をたどる」

というものだった。

目覚めた後、

「変な夢 見たなぁ。東京にいる石森先生が、私なんかのアイディア盗むはずないじゃないか。」

と 思い そのまま忘れてしまった。

かげろう奇譚#7へ続く
(2002年作品)

最新作「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ


※物語の発想&裏話「短編集 白龍抄より”雨夜幻想譚”」編
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かげろう奇譚#6(石ノ森章太郎萬画館)


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