エンドレスヒール#22 -3.11
3月3日(木)
和美は、写真屋で写した三男の写真を、まず三男と両親に送る準備をした。
次に、次男と長男に両親からもらって、忙しさにかまけて送っていなかった
「榴ヶ岡天満宮」のお守りを送るよう封筒に入れた。
それぞれの住所など書き終えると、手紙を付けることにした。
年老いた両親へ(傘寿の祝後、今年八十歳となる)
「遅くなりました。三男の成人式の写真を送ります。
おとうさん、おかあさん、いつまでもお元気でいてください。
生んでくれて 育ててくれて 人生をくれて ありがとうございました。
岬 和美」
長男へ(バンドをやりたくて、関東の大学へ進学。就職後、考えが変わって来た)
「鍋島の祖父母からのお守り 送ります。
あなたの夢は、今 新しいものとなり、新たな旅立ちを迎えています。
信じる道を行ってください。
生まれてきてくれて ありがとう。
母 岬 和美」
次男へ(犯罪心理学を学びたくて関東の大学へ進学。派遣切りなどの厳しい状況により公務員となる)
「お守り、送ります。
小学校のころから願っていた心理捜査官への道
日本では まだまだですが、最近ドラマでも取り上げられ、現実になるのも
そう 遠いことではないでしょう。
今 選んだ道も、あなたが望んだ道の一つです。
しかし、人間、人生に遅い、は ありません。
自分の人生をあきらめないで。
生まれてきてくれて ありがとう。
母 岬 和美」
三男へ(野球選手を目指しシニアまで行くが、自分の限界を知る。その後、夢を見つけられない)
「成人式の写真を送ります。
今は、まだやりたいことが見えないかもしれません。
でも いつか、きっと あなたの道が見つかるでしょう。
その時、大学を出ていることが役に立ちます。
何か新しい資格を取りたい時、四年制大学卒業しないと試験を受けられないものが多いです。
私は、四月から福祉大学の通信部に入学しますが、大学を出ていないので四年間かかります。
もし、四年大を出ていれば、二年で資格取得の受験資格が得られます。
四年大に行くことは 無駄にはなりません。
いつか やりたいことが見つかった時のために、どうか卒業して下さい。
生まれてきてくれて ありがとう。
母 岬 和美」
それらを封筒に入れ、封をすると、和美は結核の結果がわかる前に、郵送した。
続く
2011年4月8日(金)
エンドレスヒール#22 -3.11
※書籍「駒草ーコマクサー」では、長男はプログラマー、次男は医師、三男は看護師となっています。
この「エンドレスヒール」でも,書籍「駒草ーコマクサー」でも、近くて遠い作り話です。
(ちなみに、短編集「白龍抄」の中の人気作品「理科学実験室の女」の主人公も和美(姓は違う)。
書籍「駒草ーコマクサー」の主人公は「岬明純(みさき あすみ)」
12年ぶりに「エンドレスヒール」を読み返し、「自分の作品の登場人物の名前くらい、覚えとけよ!」と、自分にツッコミ入れている私です)
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね
【炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
過去作品はこちら
https://www.reservestock.jp/stores/index/30553?agency_code=
次回 エンドレスヒール#23 へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/nee06cf17464a
前回 エンドレスヒール#21 はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n2f48216baa6a
エンドレスヒールをまとめて読めるマガジンは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921