
カオル #8
「もうやめろ、晃二。」
カオルが柚季の方にあごを振った。
晃二が柚季を見ると、涙を浮かべて・・・
さらに驚いたようにカオルを見ている柚季がいた。
晃二がはっとしてカオルを振り返ると、
案の定、カオルは しまった というように
口を押さえている。
「あ~あ、失敗しちゃったい!」
カオルは伸びをして柚季に向き直った。
「ごめんね、俺、晃二のアネキじゃないんだ。
同居人。
で、ちょっと遊んでてさ。ま・・・
度が過ぎたかもしれないけど。」
カオルは気まずそうに柚季の顔をのぞきこんだ。
柚季はまだ信じられない、という顔をしている。
「あの・・・男な・・・の?」
カオルがうなずくと、改めてカオルの顔をじろじろ見た。
「そ、男だよ。金髪ちゃん。」
柚季はカオルの言葉が耳に入っているのか
「ほんとに男なんだ。
こんなに きれいなのに・・・。」
と夢見心地でつぶやいた。
それから はっとしたように顔を赤らめて
「・・・めっっちゃ好み・・・。」
と 小さくため息をついた。
「あ・・・あの、私と晃二くんは何の関係もないですから。
さっきのは冗談です。
ガールフレンドでもありません。」
今度は晃二くんかよ、何考えてるんだ?
「ほら、たまたま家わかったから、からかってやろうかと・・・。
いえ、その、通りかかっただけなんです。
いるかな~なんて、思って・・・。」
さっきとは えらい態度が違うな。
「あの・・・。」
柚季は もじもじして下をむいた。
「お・・・お名前は?」
カオルと晃二は顔を見あわせた。
「ごめん。自己紹介もしてなかったね。
俺、緑川カオル。晃二の家の居候なんだ。」
柚季は完全に目が潤んでいて
心臓の音が聞こえてきそうだ。
「私、昔っから決めてたことがあるんです。」
柚季の目がカオルをとらえた。
「あの・・・あの・・・
まだ まっさらな私、もらってくれませんか?」
ありがとうございました\(゜ロ\)(/ロ゜)/
カオル#9へ続く
カオル #8
最新作「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
過去作品・メルマガ・マインドブロックバスター
HP/リザストはこちらから
カオル #9こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n6ac4a1068faf
いいなと思ったら応援しよう!
