トンニャン過去編#54 コーラ・デビル(原題「フェニックス」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ビリーの巻」の次。「コーラの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです
「リリス、おまえは確かにわたしのためにたくさんの悪魔を生み、わたしに協力してくれた。しかし、おまえもよくわかっているだろう。悪魔に愛はない」
リリスはわなわなと震える身体を必死に押さえている。
「おまえがわたしを利用し、自分の一族の繁栄を望んだ事もわかっていた。
わたしも大魔王ルシファーと名乗った時から、愛を捨てたのだからそれも許そう。だが、コーラは素直に愛してくれた。コーラはわたしの一存で助ける。それが嫌なら、魔界を去るがいい」
リリスは唇をかみながら屈辱に耐えていた。
「く・・・勝手にするがよい!」
そう叫ぶと一瞬のうちに法廷から姿を消した。そして他の悪魔達も、一人二人と去って行った。
「コーラ、辛い思いをさせたな。」
コーラは泣いて言葉にならない。
「トンニャン、おまえの大胆さには驚いた。リリスにあんな事を言ったのは、おまえが初めてだぞ」
トンニャンはすでに少年の姿をしている。
「わたしにできない事はない。わたしに怖いものはない。悪魔達が襲い掛かってきたら、瞬時に消してやるつもりだった。いい所で現れたな」
「そうではないか、と思った。リリスの事は何とでもなるが、失った部下は簡単に取り戻せない」
「部下を救いに来たか?」
「わたしの王国では必要だ」
「ル・・・ルシファー様、私なんか、忘れてください」
泣きながらやっと口を開いたコーラにルシファーが微笑んだ。
「心配することはない。悪いようにはしない」
ルシファーはトンニャンに向き直った。
「まだコーラは人間界におきたい。何が起こるかわからないが、コーラを守ってくれ。わたしは魔界の混乱を沈めるための時間が必要だ」
トンニャンは大きくうなずき、コーラの手を力強く引いた。
*****
「トンニャン、コーラ!どこに行ってたのよ!」
二人が戻ると、チェリーが大きな声で迎えた。
トンニャンはそれに答えず、コーラを彼女の部屋に連れて行くと、ベッドに寝かせた。
「コーラは大丈夫なの?熱は?」
トンニャンはコーラを寝かせると部屋を出た。
「トンニャン、答えてよ。何があったの?」
トンニャンは首を振った。天使であるチェリーに説明した所で、何の解決にもならない事をトンニャンは知っていた。
「大丈夫、明日には元気になると思うから」
チェリーはひとまず安心した。
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#54 コーラ・デビル(原題「フェニックス」)
※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。
【「炎の巫女」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024
次回トンニャン過去編#55 コーラ・デビルへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/na0d81dbb0218
前回トンニャン過去編#53 コーラ・デビルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n7677cfb2fbda
■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d
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